不倫・不貞・浮気の慰謝料請求をしたい方へ

1 配偶者の不倫で慰謝料を請求できる場合

配偶者が不倫をしていることが分かっても、必ずしも慰謝料請求ができるとは限りません。

配偶者と浮気相手との行為が民法上の不法行為にあたる必要があります。

不法行為にあたる典型例は、不貞行為、つまり性的関係がある場合です。

逆に、異性と二人きりで会っていても、何回か食事に行ったにとどまる場合などは、不法行為と認められる可能性は低いでしょう。

不貞行為が認められる場合であっても、配偶者が浮気相手に既婚者であることを隠していたような場合、配偶者に対する慰謝料請求は認められても、浮気相手に対する慰謝料請求が認められない可能性があります。

不貞行為が認められ、配偶者が既婚者であることも分かっていても、それ以前に婚姻関係が破たんしていた場合には、不貞行為によって法的な利益が害されていないとして、慰謝料請求は認められなくなります。

2 慰謝料請求が認められないその他の場合

配偶者が不倫をしていることが分かっても、慰謝料請求が認められない場合について、いくつか説明しました。

これ以外に、不倫の相手方に対する慰謝料請求は、不貞行為と不倫相手を知ってから3年で時効にかかってしまいます。

この3年を過ぎると、時効によって不倫相手に対する慰謝料請求ができなくなります。

3 慰謝料請求の流れ

不倫相手に慰謝料請求をする場合、まず不倫相手に慰謝料を支払ってほしいという内容の書面を送付し、その後に金額や支払い方法について話し合いをするというのが一般的です。

この書面は、内容証明郵便を利用します。内容証明郵便を利用すると、慰謝料を請求することを書いた書面を受け取ったのに受け取っていないと言えなくなりますので、相手方から返答のある可能性が高くなります。

また、時効完成を6か月間猶予してもらうための証拠となりますので、後に訴訟を起こす場合などに役に立ちます。

不倫相手から返答があれば、金額や支払い方法について交渉します。

その結果、合意ができれば合意書を作成し、その内容に従って慰謝料の支払いを受けます。

不倫相手が何も返答してこない場合は、裁判所に民事訴訟を起こすのが一般的です。

配偶者に対する慰謝料請求は、通常、離婚の話し合いと一緒に行います。

話し合いがつかなければ、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、離婚調停の中で慰謝料についても話し合うことになります。

離婚調停で話合いが合意に至れば、慰謝料の金額や支払い方法を含めて、合意の内容を記した調停調書を裁判所が作成します。

離婚調停で合意できなかった場合は、慰謝料請求を含めて離婚訴訟を提起することになります。

離婚訴訟でも、和解といって話合いで終わることがあります。この場合は裁判所が合意の内容を記した和解調書を作成します。

和解ができなかった場合は、判決の言い渡しとなり、裁判所が判決書を作成します。

調停調書、和解調書、判決書のいずれでも、強制執行が可能です。

不倫相手が慰謝料を支払わない場合、給料や預貯金など、不倫相手の財産を差し押さえることができます。

慰謝料請求は、相手方が不貞の事実を争うことが多いと言えます。

そのような場合は、訴訟を起こさなければ決着しないため、有効な証拠の選別や法的な主張の組み立てが必要になります。

自分自身で取り組むより、弁護士に依頼した方が、圧倒的に有利に進むといえるでしょう。

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