【借金問題】養育費の未払いがある自己破産

会社の都合で給料が減り、借入れでしのいでいたけれど、返済が苦しくなってしまった。
離婚調停で取り決めた養育費も、最近は支払えていない。
それで自己破産を考えているのだけれど、というご相談をお受けすることがあります。
しかし、自己破産によって養育費の支払いを免れることはできないのです。

1 養育費を決められたとおりに支払わないとどうなるのか

支払期限が来た養育費を決められたとおりに支払わなければ、返済期限に返済しなかった借金と同じく、破産申立てにあたって債務ということになります。

ただ、貸金業者からの借入れは、単に約束の日に返済しなかったということですので、直ちに差押えができるわけではありません。
貸金請求訴訟を起こして判決をとり、その判決に基づいて差押えを行うことになります。

しかし、養育費が調停や審判で決められたものなら、判決で命じられた支払いと同じです。
ですから、その調停調書や審判に基づいて給料や銀行口座の差押えができます。

2 自己破産と養育費との関係

自己破産すれば、養育費の差押えを逃れることができるのでしょうか。

自己破産をして、最終的に免責が認められると、債務があっても支払い義務がなくなります。
ですから、業者からの借入れは、免責を受けられれば支払わなくてよいことになります。

しかし、養育費は、破産法により、免責されない支払い義務とされています。
自己破産しても、養育費の未払いは、差押えを逃れることができないのです。

しかも、通常の借金では貸金業者が債権者になりますが、未払いの養育費については、元配偶者が債権者となります。
そのため、破産したことが元配偶者に知られてしまうことを覚悟する必要があります。

さらに、自己破産を申し立てる準備をしているときに、未払いになっている過去の養育費を元配偶者に支払うと、免責するかどうか裁判所が判断する際に、不利な事情となってしまいますので注意が必要です。
過去の滞納ではなく、これから支払期限がくる分については、取り決めどおりに支払っても問題ありません。

3 養育費減額調停

養育費は、双方の収入や生活事情に基づいて算定されます。

もし、病気で仕事ができなくなった、会社の都合で収入が減った、などの事情で自己破産の申立てをするのであれば、養育費を算定する基礎事情に変更があったと言うことができる場合があります。

そのような場合は、収入に見合った養育費に減額してもらうことを考えるべきでしょう。
元の養育費が調停などで決められている場合は、家庭裁判所に養育費減額調停を申し立てて話し合うのがよいと思います。