【著作権】自炊代行業者に対する著作権に基づく差止請求

◆いわゆる自炊代行業者に対する
差止請求を認めた原審が維持された。
  (知財高裁平成26年10月22日判決)
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著作権法112条1項
著作者、著作権者、出版権者、実演家又は著作隣接権者は、
その著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を
侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、
その侵害の停止又は予防を請求することができる。
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◆控訴人
顧客からの注文を受けて,著作権者の許諾を得ず,
小説,エッセイ,漫画等の書籍をスキャナーで読み取って電子ファイル化する
サービス(本件サービス)を業とする会社及びその取締役。

◆被控訴人
控訴人が注文を受けた書籍に著作権を有する作品が含まれる蓋然性が高いと
主張する小説家,漫画家,漫画原作者7名。

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◆原判決(東京地判平25・09・30)
控訴人の行為は被控訴人の著作権を侵害するおそれがある。
私的使用のための複製の抗弁(著作権法30条1項)も理由がない。
差止の必要性を否定する事情も見当たらない。
控訴人に対する差止請求を認容。
被控訴人1人当たり10万円の損害賠償請求を認容。
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《判決》
控訴棄却。

■ 差止請求権の有無

□ 控訴人による複製行為の有無

裁断した書籍をスキャナーで読み込み電子ファイル化する行為が,
著作物である書籍について有形的再製をする行為,
すなわち複製にあたることは明らか。

この行為は控訴人会社のみが専ら業務として行っていて,
利用者は関与していない。

控訴人会社は利用者と対等な契約主体であり,
営利を目的とする独立した事業主体として
本件サービスにおける複製行為を行う主体である。

□ 著作権法30条1項の適用の可否

本件サービスにおける複製行為の主体は控訴人会社である。

控訴人会社は,営利を目的として,不特定多数の利用者に
複製物である電子ファイルを納品・提供するために複製を行っている。

したがって著作権法30条1項の使用目的に関する要件を欠く。

また複製主体は控訴人会社であるのに対し,
電子ファイルを私的利用するのは利用者であるから,
同条項の「その使用する者が複製する」という要件も欠く。

同条項を適用する余地はない。

□ 差止の必要性

控訴人会社は,被控訴人らを含む作家・出版社から送付された質問書に対して
利用者の依頼があってもスキャン事業を行うことはない旨の回答をしたが,
いくつかの作品について利用者の注文を受けてPDFファイルを収録したDVDを納品した。

控訴人会社は,今後も被控訴人の著作権を侵害するおそれがあると言え,
電子的方法により複製することを差し止める必要性がある。

■ 不法行為による損害賠償請求の成否及び損害額

著作権者が著作権112条1項に基づく差止めを請求するための訴訟提起を
余儀なくされ弁護士に委任した場合,その弁護士費用は,
事案の難易その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額の範囲内のものに限り,
著作権侵害又はそのおそれと相当因果関係に立つ損害と言える。

控訴人会社の唯一の取締役で代表者である控訴人も,
控訴人会社と共同して不法行為責任を負う。

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