【債務整理】住宅ローンと固定資産税の滞納

質問

住宅ローンを組んで自宅を購入しましたが、固定資産税の滞納で差押えを受けてしまいました。
自宅を売ってローンを返済したいのですが、できるでしょうか。

回答

差押えのされた不動産を勝手に売ることはできませんから、差押えを解除してもらわなければなりません。
そのために滞納した税金を払ってしまえるなら問題ありませんが、多くの場合はそれができないからこそこういう事態に陥っています。
また、自宅を売って住宅ローンも税金も十分に支払える場合であれば問題ありませんが、そんな金額に至らない場合はどうなるのでしょうか。

まず、不動産が競売等された場合、住宅ローンで設定された抵当権と税金滞納による差押えとのどちらが優先されるでしょうか。
これについては、抵当権が設定された日と滞納している税金の法定納期限の先後によって優劣が決まるとされています(地方税法第14条、同法第14条の10)(国税の場合は国税徴収法第8条、同法第16条)。
住宅ローンの抵当権は、不動産を取得したときに設定されていますから、抵当権がが滞納税金による差押えに優先することになります。

とすると、自宅がオーバーローンの場合、不動産の売却代金から滞納した税金に充てられる分はありません。
したがって、滞納税金による差押えは意味のない差押えということになります。
本来、このような無益な差押えは認められていません(国税徴収法第48条第2項、地方税法第331条第6項))。
そして無益な差押えとなった場合には、差押えを解除しなければなりません(国税徴収法第79条第1項第2号)。

しかし、無益な差押えかどうかは不動産の評価次第です。
差押え時に無益であることが一見して明らかでない限り、違法な差押えと言えないと考えられています(高松高判平11・7・19)。
また、無益であると主張して解除してもらうにしても、それなりの鑑定書で評価を示す必要があり、コストがかかることは否定できません。

その一方で、抵当権による競売で税金滞納者にめぼしい財産がなくなってしまえば、滞納税金の支払いを期待できなくなるのも事実です。
ですから、地方自治体(や国)としても、競売がされてしまうよりも、いくらかの支払いでも受けられた方がよいと考える可能性があります。
他方、競売によるよりも任意売却した方が売却金額がいくらかでも高くなりますので、住宅ローンの債権者としても、差押えを解除してもらえずに競売となるよりも、多少の減額があっても差押えを解除してもらって任意売却することに意味を見出す場合があります。

そこで、住宅ローンの債権者に返済額をいくらか減額してもらって、その分を滞納税金に回すことで、国や自治体に差押えを解除してもらう方法が考えられます。
もちろん、銀行や国・地方自治体などとの交渉がうまくいくことが前提です。