【離婚】私は開業医です。離婚調停で妻側と話し合っているのですが,財産分与について教えてください。

Q1.私は医師です。妻と結婚してから診療所を開業し,その後診療所は医療法人となっています。妻からは医療法人が所有する財産を分与するように求められています。応じなければなりませんか。

A1.結婚後に夫婦で築いてきた夫婦共有財産を,離婚に当たって精算するのが離婚に伴う財産分与です。基本的に医療法人は夫婦と別人格ですので,個人の財産をあえて医療法人の財産にしているなどの混同がない限り,離婚に当たって医療法人の財産を清算・分配するということにはなりません。

Q2.医療法人を設立するにあたっては,私がほとんどを出資しましたが,妻と私の母も出資しています。母の持分も財産分与の対象となるのですか。

A2.基本的にお母さんの出資持分は夫婦共有財産には含まれませんが,たとえば法人化してからも診療所の資産や管理運営体制に大きな違いがなく,お母さんの出資分も形式的なものと言えるような場合は,法人化したとはいえ,もとの診療所が継続しているとも見ることができます。このような場合は,お母さんの出資持分も財産分与の対象とされることがあり得ます。

Q3.出資持分を分与するとしても,私は診療所を閉めて持分を現金化することはできません。将来引退するときには医療法人を清算・分配することになりますが,その時までの中間利息を控除することはできないのですか。また,そのようなときには精算価値もなくなっているので分与すべき財産はないのではないでしょうか。

A3.離婚に伴う財産分与は,原則として別居時の財産が対象になります。医師であるあなたが現在の診療所を今すぐ閉めて現金化するのが実際的でないことは理解できますが,たとえば他人に出資持分を譲渡して退社することは法的に不可能ではありません。ですから,いつか分からない将来の払戻見込額を基準にして中間利息を控除するという主張を通すのは,少々難しいところがあるかもしれません。
 ただし,退社した社員の持分返還請求権が権利濫用を理由に制限される場合があることや,実際上医師であるあなたが直ちに現金化することができず,将来現金化したとしてもその金額については不透明なところがあることなどを考慮して,裁判所が評価額を減額認定する可能性は存在します。

Q4.財産分与割合はあくまでも1/2なのでしょうか。

A4.夫婦平等という観点から,一般的に財産分与割合は1/2とされる場合がほとんどです。しかし,例えばスポーツ選手などのように引退後の生活費を考慮した賃金を前倒しで支払って生涯賃金を保障する意味合いが含まれるような場合や,高額な収入の基礎となる特殊な技能が結婚前の個人的な努力によっても形成され,そのために多額の財産が形成されたような場合には,このような事情が考慮されることがあります。
 一方が医師の場合は,後者の場合に当たるとされて,1/2から修正されることもあります。ただしその場合でも,基本は1/2であり,そこからの修正にすぎないという点は押さえておくべきと思います。