【債権回収】異議をとどめない債権譲渡の承諾をした債務者が譲受人に対抗できる場合

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京都北山特許法律事務所 法律部門
インフォメール  No.10/2017.04.14
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◆異議をとどめない債権譲渡の承諾をした債務者が譲渡人に対抗できた事由を譲受人に対抗できる場合
   (最高裁平成27年6月1日判決)
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民法第467条(指名債権の譲渡の対抗要件)
 指名債権の譲渡は,譲渡人が債務者に通知をし,又は債務者が承諾をしなければ,
債務者その他の第三者に対抗することができない。
民法第468条(指名債権の譲渡における債務者の抗弁)
 債務者が異議をとどめないで前条の承諾をしたときは,譲渡人に対抗することができた事由があっても,
これをもって譲受人に対抗することができない。
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◆当事者
A:貸金業者。
X:Aと金銭消費貸借取引をしていた個人。
Y:Xに対する貸金債権をAから譲り受けた貸金業者。

◆事案
Xは,Aとの間で,平成12年1月14日から平成14年2月27日まで,継続的な金銭消費貸借取引(本件取引)をした。
Aは,平成14年2月28日,Yに対し,本件取引の貸金残債権を譲渡した(本件債権譲渡)。
この債権譲渡契約書には,「いかなる適法かつ有効な相殺,反訴または抗弁にも服することはない」と記載されていた。
本件取引に旧貸金業法43条1項の適用があるとすれば,平成14年2月28日における貸金残債権の元本額は46万2921円である。
本件取引に同項の適用がないとすれば,同日における貸金残債権の元本額は33万9579円に減少する(本件事由)。
A及びYは,平成14年3月18日ころ,Xに対し,貸金残債権の元本額が46万2921円であると表示して,本件債権譲渡の通知をした。
Xは,同月21日ころ,Yに対し,異議をとどめないで本件債権譲渡を承諾した。
Xは,平成24年11月19日までの間,Yとの間で継続的な金銭消費貸借取引をした。

■Xの主張
本件取引には旧貸金業法43条1項の適用はなく,Yに対して本件事由を対抗できる。
本件取引及びYとの取引における利息制限法の制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生する。

■Yの主張
仮に本件取引に旧貸金業法43条1項の適用がなかったとしても,Yは本件事由の存在を知らず,
知らないことに重大な過失があったとも言えないから,Xは本件事由をYに対抗することができない。

■原審
Yは,本件取引に旧貸金業法43条1項の適用があることを前提に本件債権譲渡を受けていた。
本件債権譲渡の同項の適用について,本件債権譲渡の当時は緩やかな解釈を採る裁判例や学説も相当程度存在した状況にあった。
この状況下,Yは本件事由の存在を知らず,知らないことに重大な過失があったということもできない。
Xは本件事由をYに対抗することができない。

《判決》
■X敗訴部分破棄。原審差し戻し。

■民法468条1項前段の趣旨は,譲受人の利益を保護し,債権取引の安全を保障することにある。
そうすると,譲受人において本件事由の存在を知らなかったとしても,そのことに過失がある場合には,
譲受人の利益を保護しなければならない必要性は低い。
譲受人が通常の注意を払えば上記事由の存在を知り得たという場合にまで,
譲渡人に対抗できた事由をもって譲受人に対抗できなくなるという重大な効果を生じさせるのは,両当事者間の均衡を欠く。

■したがって,債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合において,
譲渡人に対抗することができた事由の存在を譲受人が知らなったとしても,
このことについて譲受人に過失があるときには,債務者は,当該事由をもって譲受人に対抗することができると解するのが相当である。

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