【破産・離婚】早期退職支援制度に基づく年金給付請求権が差押禁止債権に該当しないとされた事例

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京都北山特許法律事務所 法律部門
インフォメール  No.11/2017.04.28
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◆早期退職支援制度に基づく年金給付請求権が差押禁止債権に該当しないとされた事例
   (東京高裁平成26年4月24日判決)
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破産法第34条(破産財団の範囲)
 破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(日本国内にあるかどうかを問わない。)は,破産財団とする。
3 第1項の規定にかかわらず,次に掲げる財産は,破産財団に属しない。
 二  差し押さえることができない財産。
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民事執行法152条(差押禁止債権)
 次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
 二  給料,賃金,俸給,退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
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◆当事者
A:破産者。
X:破産者の元妻。
Y:Aの破産管財人。

◆事案
平成22年3月,Aが退職。
平成22年4月から,10年間の予定で早期退職支援制度に基づく「つなぎ年金」の受給を開始。
平成22年6月,Aの破産開始決定。
破産管財人は,平成22年分の「つなぎ年金」から平成25年分まで支給時期が到来したものを順次破産財団に組み入れた。
平成23年9月,AXが離婚。平成24年から平成32年まで,Aが受け取った「つなぎ年金」の半額をXに支払う旨を合意。

■Xの主張
「つなぎ年金」の給付請求権は民事執行法152条1項2号の「退職年金」
又は「これらの性質を有する給与」に係る債権に該当するので,破産法34条3項2号により,
その3/4に相当する部分は破産財団を構成しないことを前提に,
①「つなぎ年金」の給付請求権のうち3/4に相当する部分につきAが管理処分権を有することの確認。
②Aに対する財産分与請求権を被保全債権とする債権者代位により,
AのYに対する不当利得返還請求権に基づき,Xに対する分与されるべき金額の支払い。
③予備的に,Yによる破産財団への組み入れがXの財産分与請求権を侵害したとして,
不法行為に基づき②の金額と弁護士費用相当額の損害賠償。

■原審
①:棄却。
②:棄却。
③:棄却。

《判決》
①:控訴棄却。
②:却下。
③:控訴棄却。

■「つなぎ年金」の給付請求権の3/4についてAが管理処分権を有するか。

→ 本件「つなぎ年金」は差押禁止債権に該当せず破産財団を構成し,Yが全部について管理処分権を有する。

 本件「つなぎ年金」は,一定期間継続的雇用関係にあった者のうち,
早期退職支援制度の適用を受けて退職した者のみを対象として雇用関係終了後に支給される金員である。
支給対象者が提供した労務の対価は,雇用関係継続中の給与,賞与,諸手当,退職一時金,終身年金等により,
早期退職支援制度の適用を受けない者と同様に受給しているものと考えられる。
従って,これらと別個に支給される「つなぎ年金」を労務の対価である給与の性質があるとみることは困難である。
 同制度の適用を受けて退職した者であっても,関連会社等に再就職した者を対象としない点も考慮すれば,
「つなぎ年金」は早期退職を勧奨するために,早期退職の代償として付与される特別の利益とみるのが相当である。
 退職一時金,割増一時金,終身年金,割増年金の支給に加えて,
退職後の収入との差額調整として「つなぎ年金」の受給権を取得することに照らせば,
給与等に係る債権を保護することにより債務者等の最低限の生活を保障しようとする民事執行法152条1項2号の趣旨からしても,
本件「つなぎ年金」を退職年金又はこれらの性質を有する給与に係る債権と解すべき事情は見出し難い。

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