【マンション管理】マンション管理規約に定められた「違約金としての弁護士費用」とは(東京高裁平成26年4月16日判決)


 「違約金としての弁護士費用」は管理組合が弁護士に支払義務を負う一切の費用である。

事案の概要

 Xは,マンションAの区分所有者で,平成22年9月分から管理費を未払いにしていました。
 Yは,Aの管理組合です。管理費を未払いとしているXに対し,管理規約に基づいて,未払い管理費459万5360円,これに対する管理規約に定めた年18%の割合による遅延損害金,弁護士費用102万9565円,これに対する年5%の割合の遅延損害金の支払を求めました。
 Aの管理規約は,国土交通省のマンション標準管理規約にならって,組合員が期日までに管理費を納付しなかった場合,「違約金としての弁護士費用」を加算して組合員に請求できると定めていました。

原判決

 原判決は,Xが「弁護士費用」の支払義務を負っていることは認めたものの,実額ではなく裁判所が認定した相当額であるとして,50万円だけを認めました。
 これを不服としてXが控訴したところ,Yもその後に生じた未払金に加えて,「弁護士費用」全額の支払を求めて附帯控訴をしました。

「違約金としての弁護士費用」とは

 本判決は,「違約金としての弁護士費用」は管理組合が弁護士に支払義務を負う一切の費用であるとして,102万9565円全額の請求を認めました。

 理由は次のとおりです。
 違約金とは,契約を締結する場合において契約に違反したときに一定の金員を支払う旨を約束し,それにしたがって支払われるものである。
 債務不履行に基づく損害賠償請求をする際の弁護士費用は相手方に請求できないと考えられるから,管理組合とすると,滞納管理費の支払が認められても弁護士費用等が持ち出しになってしまう事態が生じるが,この事態は衡平の観点からは問題であり,そのため管理規約で弁護士費用を違約金として請求できると定めているのであり,このような定めは合理的で,違約金の性質は違約罰(制裁金)と解するのが相当である。
 本件の弁護士費用として102万円9565円という額が不合理とは言えない。

雑感

 国土交通省のマンション標準管理規約に同様の定めがあり,Aの管理規約もこれにならったものでした。
 国土交通省の標準管理規約にならった管理規約がほとんどでしょうから,およそすべてのマンションで参考になります。

 この時にもし500万円の委任契約をしていたら「違約金としての弁護士費用」として500万円を認定されたかというと,そういうものではないでしょう。
 いくら弁護士に支払義務を負う一切の費用を認めると言っても,合理的でない高額な委任契約を締結した場合も全額が認められるというわけではありません。
 そういうふうに見ると,支払わせる弁護士費用として本件ではいくらが妥当かという点で,弁護士からすると原判決よりも妥当な金額を認定した判決と言うことができます。
 102万円強の弁護士費用は,弁護士会の旧報酬基準で計算したものだそうです。
 なかなかしぶとく生き残っている旧基準。