【債権回収・消滅時効】主たる債務者に対する求償権の消滅時効中断事由と共同保証人間の求償権の消滅時効の中断

 主債務者に対する求償権について消滅時効の中断事由があっても,共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じない。

事案の概要

 Yは,A社の委託を受けて,平成元年4月10日,B銀行との間で,B銀行に対するA社の一切の債務につき連帯保証する旨の契約をしました。

 A社は,平成2年8月14日,B銀行から8490万円を借入れました。

 Xは,A社から信用保証の委託を受けて,平成2年8月13日,B銀行との間で,上記のA社の債務を連帯保証する旨の契約をしました。

 Xは,平成6年2月23日,B銀行に対して残債務全額を代位弁済しました。

 Aは,同年12月30日から平成13年5月16日までの間,Xに対し,代位弁済により発生した求償金債務の一部を弁済しました。

 Xは,平成14年5月20日,A社に対し,求償金の残債務の支払いを求めて訴訟を提起し,同年9月13日,Xの請求を認容する判決が言渡され,その後確定しました。

 Xは,平成24年7月25日,Yに対し,求償金残元金と遅延損害金の支払いを求めて本件訴訟を提起しました。

 Yは,本件訴訟において,求償金の消滅時効を主張しました。

 第1審はXの請求を認容しましたが,Yが控訴し,控訴審では消滅時効が完成しているとして,Xの請求を棄却しました。

 これに対し,Xは上告し,Aに対する求償権の消滅時効の中断がある場合,民法457条1項の類推適用により,共同保証人間の求償権の消滅時効についても中断の効力が生じていると主張しました。

最高裁の判断

 最高裁は,次のように述べて,Xの上告を棄却しました。

 民法465条に規定する共同保証人間の求償権は,主たる債務者の資力が不十分な場合に,弁済をした保証人のみが損失を負担しなければならないとすると共同保証人間の衡平に反することから,共同保証人間の負担を調整するためのものであり,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権を担保するためのものではない。

 したがって,保証人が主たる債務者に対して取得した求償権の消滅時効の中断事由があっても,共同保証人間の求償権について消滅時効の中断の効力は生じない。

雑感

 Xは保証協会で,保証協会が商人である主債務者の委託を受けて保証したとき,その求償権は商事債権となり,消滅時効期間は5年となります(最判昭42・10・6)。

 Xが本件訴訟を提起した時点で,代位弁済の日から5年経過していましたが,A社に対する求償金請求訴訟の判決が確定してから10年経過していませんでした。そこで民法457条1項の類推適用を主張したのですが,最高裁は否定しました。

 ただ,民法500条,501条により,代位弁済した保証人は他の保証人に対する保証債権を取得することになり,これは債務者に対する求償権を担保するためのものだとすれば,この保証債権は消滅時効が完成していないことになるのではないかという考え方もあり得るように思いますが,ここはよく分かりません。

参考条文

民法
(時効の中断事由)
第147条 時効は、次に掲げる事由によって中断する。
一 請求
二 差押え、仮差押え又は仮処分
三 承認

(連帯債務者間の求償権)
第442条 連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。

(共同保証人間の求償権)
第465条 第442条から第444条までの規定は、数人の保証人がある場合において、そのうちの一人の保証人が、主たる債務が不可分であるため又は各保証人が全額を弁済すべき旨の特約があるため、その全額又は自己の負担部分を超える額を弁済したときについて準用する。

(主たる債務者について生じた事由の効力)
第457条 主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の中断は、保証人に対しても、その効力を生ずる。

(法定代位)
第500条 弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。

(弁済による代位の効果)
第501条 前二条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。