【破産】債権者集会への出席を条件とする海外旅行の許可の適否

 破産者は,破産法37条,40条,250条等の規定により,債権者集会及び免責審尋期日に出頭して,破産に関する事情や免責不許可事由の有無等について説明する義務を負う。

事案の概要

 Xは,平成21年4月21日に破産手続きが開始した株式会社Aの代表者で,同年6月4日に破産手続開始決定を受けた破産者です。
 同年10月28日から平成26年9月8日までの間に,13回にわたり債権者集会が実施されましたが,Xは,自らの体調不良や逮捕勾留を原因として,一度も出頭しませんでした。
 そして第14回債権者集会が,平成27年3月11日と指定されていました。

 またXは,第11回債権者集会前の平成25年8月から,破産管財人に対し合計30回の海外渡航の同意申請をし,破産管財人はそのうち20回について同意しました。
 これらの同意の際,帰国後に近接して債権者集会が指定されていた第11回~第13回集会については,各集会に出頭するよう付言して同意していましたが,Xはいずれも出頭していませんでした。

 Xは,平成26年12月24日,破産管財人に対し,平成27年3月14日から同年9月1日までビジネス目的での海外渡航について同意申請しました。
 破産管財人は,第14回集会への出頭状況を見て判断するという理由で判断を留保しましたので,Xは,破産裁判所に対し,同年5月14日までに短縮した上,海外渡航の許可を求めました。

 破産裁判所は,これを許可しましたが,平成27年3月11日の財産状況報告集会及び免責審尋期日に出頭することを条件としました。

 そこで,Xが,

① Xは逃走や財産の隠匿を図ったことがないのに,裁判所が海外渡航を制限することは裁量権を逸脱する。
② 債権者集会と重ならない時期の渡航について,債権者集会への出席を義務付けることは裁量権を逸脱したものである。

などの理由で即時抗告したのが,本件です。

裁判所の判断

 裁判所は,

 破産者は,破産法37条,40条,250条等の規定により,債権者集会及び免責審尋期日に出頭して,破産に関する事情や免責不許可事由の有無等について説明する義務を負う,

 Xは,これまで1回も債権者集会に出頭していないことから,破産裁判所は破産者の説明義務を尽くさせるため債権者集会及び免責審尋期日に出頭することを条件として旅行を許可したのであり,破産裁判所がこのような条件を付すことには十分な合理性がある,

 Xは債権者集会及び免責審尋期日に出頭すれば旅行が可能になるのだから,Xの居住移転の自由を不当に制限するものとは言えない,

 として,抗告を棄却しました。

雑感

 ビジネスなどでこれだけ海外渡航できるのなら,体調不良で債権者集会に出頭できないことはないだろうとは,誰でも考えることだと思います。
 管財人の免責意見はどうなるのでしょうか。

参考条文

破産法
(破産者の居住に係る制限)
第三十七条 破産者は,その申立てにより裁判所の許可を得なければ,その居住地を離れることができない。
2 前項の申立てを却下する決定に対しては,破産者は,即時抗告をすることができる。
(破産者等の説明義務)
第四十条 次に掲げる者は,破産管財人若しくは第百四十四条第二項に規定する債権者委員会の請求又は債権者集会の決議に基づく請求があったときは,破産に関し必要な説明をしなければならない。