【破産】死亡保険金請求権の破産財団への帰属

 破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権は,破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するものとして,破産財団に属する。

事案の概要

共済・保険契約の締結

 夫婦であるY1とAとの長男であるBは,平成16年,被共済者をB,死亡共済金を400万円とする生命共済契約をしました。死亡共済金の受取人はY1及びAでした。
 Bはまた,平成23年に,被保険者をB,死亡保険金を2000万円とする生命保険契約をしました。死亡保険金の受取人はY1でした。

破産申立

 夫婦であるY1とAは,平成24年3月,破産手続開始の申立てをしました。
 裁判所は破産手続開始決定をし,それぞれX1,X2を破産管財人に選任しました。

保険金の受取

 Bは,平成24年4月に死亡しました。そのためY1は,同年5月に死亡共済金・死亡保険金の請求を行い,2400万円を受け取りました。
 Y1は,このうち1000万円を費消し,残額1400万円をX1の預り金口座に振込みました。費消した1000万円のうち800万円は,弁護士であるY2のアドバイスに基づいて費消されたものでした。

当事者の請求

 X1,X2は,死亡共済金請求権・死亡保険金請求権は破産財団に属する,Y2は弁護士としての注意義務違反があると主張し,Y1に対し不当利得返還請求権に基づき,Y2に対し不法行為による損害賠償請求権に基づき,X1への800万円の連帯支払いと,X2への200万円の連帯支払いとを求めました。
 これに対しY1は,死亡共済金請求権・死亡保険金請求権は破産財団に属しないと主張し,Y1に対し,不当利得返還請求権に基づき,1400万円の支払いを求めました。

原審の判断

 原審は,本件の死亡共済金請求権・死亡保険金請求権は,破産法34条2項の「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当すると判断し,Y1に対する請求と,Y2に対する請求の一部を認容し,Y1の請求を棄却しました。
 これに対してY1,Y2が上告しました。

最高裁判所の判断

 最高裁判所は,

①第三者のためにする生命保険契約の死亡保険金受取人は,契約の成立により,契約で定める期間内に被保険者が死亡することを停止条件とする死亡保険金請求権を取得すると解される。
②この死亡保険金請求権は,被保険者の死亡前であっても,死亡保険金受取人において処分したり,その一般債権者において差押えをしたりすることが可能であり,財産的価値を有することは否定できない。
③したがって,破産手続開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権は,破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するものとして,破産財団に属する。

と判断し,上告を棄却しました。

雑感

 この最高裁の判断はこれまでの通説に沿うものですが,保険金の費消をアドバイスした弁護士の不法行為が認定されていますから,気を付けなければなりません。