【著作権】平成30年法改正:デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備(1)(2019.1.1施行)

【平成30年著作権法改正について】
1 3つの改正ポイント
2 現行法の規定との関係
※2018年10月現在での記載内容となっています。「現行」との表記は,その時点での現行法を意味します。

平成30年著作権法改正について

 著作権法の一部を改正する法律が平成30年5月に成立し,一部を除いて平成31年1月1日に施行されます。
 今回の改正は,
(1)デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備
(2)教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備
(3)障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備
(4)アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備
をその趣旨としています。
 そのうちでも「(1)」のデジタル化・ネットワーク化の進展への対応が柱となっています。
 技術・ITに関連する企業にとって知っておくべき法改正と言えますので,何回かに分けて勉強していきたいと思います。

3つの改正ポイント

 これまでも,デジタル化・ネットワーク化の進展に対応して著作権法の改正が重ねられ,著作権者の許諾なく利用できる場合について次のような規定が設けられていました。

・技術開発又は実用化の試験のための利用(30条の4)
・保守,修理等のための一時的複製(47条の4)
・送信の障害の防止等のための記録(47条の5)
・インターネット情報検索のための記録,翻案,自動公衆送信(47条の6)
・情報解析のための記録,翻案(47条の7)
・電子計算機におけるキャッシュ(47条の8)
・情報通信技術を利用した情報提供の準備のための記録,翻案(47条の9)

 このように具体的な場面ごとの規定としているのは,予測可能性を担保して,利用の委縮が生じないように配慮したものと言えます。
 しかしその一方で,柔軟性が低く新たな利用行為に対応できないという問題点が指摘されていました。「法律が現実に追い付かない」と言われる状況ですね。
 そこで,現行の規定を包含するような包括規定を新設し,包含される現行規定は削除されることとなりました。
 規定があいまいになって不公正な利用を助長しかねないデメリットに配慮し,権利者の利益を害さないと評価できる行為類型と,権利者に及ぶ不利益が軽微な行為類型とに分けて,規定の柔軟性の程度に段階がつけられました。

 新しく設けられたのは次の3条です。

(1)思想又は感情の享受を目的としない著作物の利用(新30条の4)
(2)電子計算機における著作物の利用に付随する利用(新47条の4)
(3)新たな知見や情報を創出する情報処理結果の提供に付随する軽微利用(新47条の5)

 このうち(1)と(2)とが「権利者の利益を害さないと評価できる行為類型」と,また(3)が「権利者に及ぶ不利益が軽微な行為類型」とされ,それぞれその分類に応じた規定ぶりとなっています。

現行法の規定との関係

 現行法との関係は,次のようになっています。
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 新30条の4 1号    現行30条の4
 新30条の4 2号    現行47条の7

 新47条の4 1項1号   現行47条の8
 新47条の4 1項2号   現行47条の5 1項1号
              現行47条の5 2項
 新47条の4 1項3号   現行47条の9

 新47条の4 2項1号   現行47条の4 1項
 新47条の4 2項2号   現行47条の4 2項
 新47条の4 2項3号   現行47条の5 1項2号

 新47条の5 1項1号   現行47条の6
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 現行法との関係はややこしいですが,整理された感もあります。

*次回からは,改正内容について説明したいと思います。