【著作権】著作権の制限(著作権法の基本をおさらい-07-)

 今回は著作権の制限についておさらいします。
→自分のための勉強ノートを残します。

(事件名は「著作権法入門」(島並・上野・横山,有斐閣)を参考にさせていただきました。)


目次
著作権の制限
1 私的使用のための複製(法第30条)
 (1) 制限の内容
 (2) 例外規定
  ・自動複製機器による複製
  ・技術的保護手段回避による複製
  ・違法配信ファイルのダウンロード
  ・映画の盗撮
2 引用(法第32条)
 (1) 公表された著作物であること
 (2) 引用であること
 (3) 公正な慣行に合致すること
 (4) 引用の目的上正当な範囲内であること
3 教育,試験のための利用(法第33条~第36条)
 (1) 教科書への掲載(法第33条)
 (2) 教科書代替教材への掲載(法第33条の2)
 (3) 教科用拡大図書等の作成のための複製(法第33条の3)
 (4) 学校教育番組の放送(法第34条)
 (5) 教育機関における複製(法第35条)
 (6) 試験問題としての複製(法第36条)
4 営利を目的としない上演等(法第38条)
 (1) 上演,演奏,上映,口述(同条第1項)
 (2) 放送,自動公衆送信(同条第2項)
 (3) 伝達(同条第3項)
 (4) 貸与(同条第4項)
 (5) 貸与による頒布(同条第5項)
5 所有権との調整(法第45条~第47条の3)
 (1) 美術著作物等の原作品の所有者による展示(法第45条)
 (2) 公開の美術の著作物等の利用(法第46条)
 (3) 美術の著作物等の展示に伴う複製等(法第47条)
 (4) 美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等(法第47条の2)
 (5) プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等(法第47条の3)
6 その他の権利制限
 (1) 軽微利用(法第30条の2~同条の4)
  ・付随対象著作物の利用(同条の2)
  ・検討の過程における利用(同条の3)
  ・思想又は感情の享受を目的としない利用(同条の4)
 (2) 図書館等における複製(法第31条)
 (3) 障害者のための利用(法第37条,同条の2)
 (4) 報道,国家活動のための利用(法第39条~第42条の2)
 (5) 公的アーカイブのための利用(法第42条の3,法第43条)
 (6) 放送事業者による一時固定(法第44条)

著作権の制限

 著作権法は,著作権の制限自由を限定的に列挙している。
「我が国の著作権法は,1条において,『この法律は,著作物並びに実演,レコード,放送及び有線放送に関し著作権の権利及びこれに隣接する権利を定め,これらの文化的所産としての著作物の公正な利用に留意しつつ,著作者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的とする。』と定めていることからも明らかなように,文化の発展という最終目的を達成するためには,著作者等の権利の保護を図るのみではなく,著作物の公正利用に留意する必要があるという当然の事理を認識した上で,著作者等の権利という私権と社会,他人による著作物の公正な利用という公益との調整のため,30条ないし49条に著作権が制限される場合やそのための要件を具体的かつ詳細に定め,それ以上に『フェア・ユース』の法理に相当する一般条項を定めなかったのであるから,著作物の公正な利用のために著作権が制限される場合を右各条所定の場合に限定するものであると認められる。そして,著作権法の成立後今日までの社会状況の変化を考慮しても,被告書籍における本件記事の利用について,実定法の根拠のないまま被告主張の『フェア・ユース』の法理を適用することこそが正当であるとするような事情は認められないから,本件において,著作権制限の一般法理としてその主張にかかる『フェア・ユース』を適用すべきであるとの被告の主張は採用できない。(ラストメッセージin最終号事件・東京地判平7年12月18日)

私的使用のための複製(法第30条)

制限の内容

 著作物は、私的使用を目的とするときは、その使用する者が複製することができる(法第30条第1項)。
 「私的使用」とは,「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」とされる(同条項)。

 いわゆる書籍の自炊代行について,その複製主体は事業者であり私的使用のための複製にあたらないとされた。
「本件サービスは,前記1(1)で認定したとおり,①利用者が控訴人ドライバレッジに書籍の電子ファイル化を申し込む,②利用者は,控訴人ドライバレッジに書籍を送付する,③控訴人ドライバレッジは,書籍をスキャンしやすいように裁断する,④控訴人ドライバレッジは,裁断した書籍を控訴人ドライバレッジが管理するスキャナーで読み込み電子ファイル化する,⑤完成した電子ファイルを利用者がインターネットにより電子ファイルのままダウンロードするか又はDVD等の媒体に記録されたものとして受領するという一連の経過をたどるものであるが,このうち上記④の,裁断した書籍をスキャナーで読み込み電子ファイル化する行為が,本件サービスにおいて著作物である書籍について有形的再製をする行為,すなわち「複製」行為に当たることは明らかであって,この行為は,本件サービスを運営する控訴人ドライバレッジのみが専ら業務として行っており,利用者は同行為には全く関与していない。」
「そして,控訴人ドライバレッジは,独立した事業者として,営利を目的として本件サービスの内容を自ら決定し,スキャン複製に必要な機器及び事務所を準備・確保した上で,インターネットで宣伝広告を行うことにより不特定多数の一般顧客である利用者を誘引し,その管理・支配の下で,利用者から送付された書籍を裁断し,スキャナで読み込んで電子ファイルを作成することにより書籍を複製し,当該電子ファイルの検品を行って利用者に納品し,利用者から対価を得る本件サービスを行っている。」
「そうすると,控訴人ドライバレッジは,利用者と対等な契約主体であり,営利を目的とする独立した事業主体として,本件サービスにおける複製行為を行っているのであるから,本件サービスにおける複製行為の主体であると認めるのが相当である。」(サンドリーム事件・知財高判平26・10・22)

 私的使用目的で複製された複製物を,私的使用以外の目的で頒布又は公衆への提示をすると,その頒布又は公衆への提示によって複製を行ったものとみなされる(法第49条第1項第1号)。

 会社内などでの業務上の利用目的のための複製は,私的使用目的といえない。
「被告らは, 第一設計図の複製図面は被告らにおいて,自社用資料として,使用する目的のものであったから, その複製については, 原告の許諾を得る必要がない旨主張する。ところで,著作権法第30条によれば,著作物は,個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とする場合には, その使用する者が複製することができる旨が規定され ているが,企業その他の団体において,内部的に業務上利用するために著作物を複製する行為は, その目的が個人的な使用にあるとはいえず, かつ家庭内に準する限られた範囲内における使用にあるとはいえないから, 同条所定の私的使用には該当しないと解するのが相当である。」「しかして,本件においては, すでに判示したところからすれば, 被告らは,会社における内部的使用のために第一設計図の複製をしたことが明らかであって, その複製行為は, 同法第三〇条所定の私的使用には該当しないから, 原告の許諾を得る必要がないということはできない。」(舞台装置設計図事件・東京地判昭52・7・22)

例外規定(=私的使用目的の複製にあたらない)

1 自動複製機器による複製

 「公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合」(法第30条第1項第1号)
  「自動複製機器」とは,「複製の機能を有し,これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器」をいう(同号)。

 「当分の間,これらの規定に規定する自動複製機器には,専ら文書又は図画の複製に供するものを含まないものとする。」(附則第5条の2)
  →コンビニに置いてあるコピー機を使って行う書籍のコピーは適法。
  →レンタルCD店に置いてある録音機でのCDのダビングは違法。

2 技術的保護手段回避による複製

 「技術的保護手段の回避により可能となり,又はその結果に障害が生じないようになつた複製を,その事実を知りながら行う場合」(法第30条第1項第2号)
  「技術的保護手段」はいわゆるコピーガードであり,法第2条第1項第20号に定義されている。

3 違法配信ファイルのダウンロード

 「著作権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を,その事実を知りながら行う場合」(法第30条第1項第3号)
 違法な複製物でも私的使用目的の複製は違法でないのが原則であるが,これはその例外規定である。

 違法配信ファイルのダウンロードは,さらに刑事罰の対象とされた。
 「第30条第1項に定める私的使用の目的をもつて,録音録画有償著作物等の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を,自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は,2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。」(法第119条第3項)

4 映画の盗撮

 「映画の盗撮については,著作権法第30条第1項の規定は,適用せず」(映画の盗撮の防止に関する法律第4条第1項)
 「前項の規定は,最初に日本国内の映画館等において観衆から料金を受けて上映が行われた日から起算して8月を経過した映画に係る映画の盗撮については,適用しない。」(同条第2項)

私的録音・録画補償金制度

 「私的使用を目的として,デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器であつて政令で定めるものにより,当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は,相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。」(法第30条第2項)
 →デジタル録音・録画機器及びデジタル録音・録画記録媒体のメーカーが補償金管理団体に補償金を支払い,それを機器・媒体の価格に上乗せする制度である。しかし,コンテンツのデジタル化に伴い,著作権保護技術(DRM)によってコピー・コントロール可能になり,現在この制度は利用されていない。補償金管理団体も2015年に解散した。
「当裁判所は,客観的かつ一義的に明確でない『アナログデジタル変換が行われた』の要件については,上記経緯にかんがみて総合的な見地から解釈するならば,放送波がアナログであることを前提にしてこれについてアナログデジタル変換を行うことが規定されていると解するものであり,これを超えての範囲を意味するものと解することはできないと判断する。」「 一部の影像についてアナログデジタル変換が行われ,これがデジタル放送に使用されることをもって,アナログデジタル変換が行われたとの要件を満たすと解するとすれば,これを録画する場合には,被控訴人が主張しているように,『連続して固定される』との要件を充足しない可能性も否定し去ることができないのであって,いずれにせよ,アナログチューナーを搭載しないDVD録画機器についても3号の要件を充足するとするのは,客観的かつ一義的に明確でない同号の解釈として許されないといわなければならない。」
「以上のとおりであって,チューナーとしてデジタルチューナーのみを搭載する録画機器にあっては,録画される対象が『アナログデジタル変換が行われた影像』であるとの施行令1条2項3号の要件を充足しないから,同号所定の特定機器に該当するものと認めることはできない。」(SARVH対東芝私的録画補償金事件・知財高判平23・12・22)

引用(法第32条)

 「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」(法第32条第1項)

公表された著作物であること

 著作物の公表は,法第4条に定義されている。

引用であること

 利用する側の著作物と引用して利用される側の著作物とが明瞭に区別できること(明瞭区別性),利用する側が主,利用される側が従という関係があること(主従関係性)が必要である。
「(旧著作権)法30条1項第2は,すでに発行された他人の著作物を正当の範囲内において自由に自己の著作物中に節録引用することを容認しているが,ここにいう引用とは,紹介,参照,論評その他の目的で自己の著作物中に他人の著作物の原則として一部を採録することをいうと解するのが相当であるから,右引用にあたるというためには,引用を含む著作物の表現形式上,引用して利用する側の著作物と,引用されて利用される側の著作物とを明瞭に区別して認識することができ,かつ,右両著作物の間に前者が主,後者が従の関係があると認められる場合でなければならないというべきであり」(パロディー・モンタージュ事件・最判昭55・3・28)

 引用して利用する側には著作物性が必要とする裁判例がある。
「本条項の立法趣旨は,新しい著作物を創作する上で,既存の著作物の表現を引用して利用しなければならない場合があることから,所定の要件を具備する引用行為に著作権の効力が及ばないものとすることにあると解されるから,利用する側に著作物性,創作性が認められない場合は,引用に該当せず,本条項の適用はないものである。」
「前記認定事実によれば,本件入場券及び割引入場券のうち本件絵画三を除く部分の記載事項は,単にコレクションの名称,それに含まれる画家名,その他本件展覧会の開催についての事実の記載に過ぎないから,思想又は感情を創作的に表現した著作物であるということはできない。よって,右本件絵画三の複製を自己の著作物への引用であるということはできず,抗弁3は認められない。」(バーンズ・コレクション展事件・東京地判平10・2・20)

 「国若しくは地方公共団体の機関,独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し,その著作の名義の下に公表する広報資料,調査統計資料,報告書その他これらに類する著作物は,説明の材料として新聞紙,雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし,これを禁止する旨の表示がある場合は,この限りでない。」(法第32条第2項)

公正な慣行に合致すること

 どのような引用が公正な慣行に合致するかはケースバイケースで判断される。

 批判目的の引用であっても,正当な批評と言えるものであれば公正な慣行に合致し得るが,人格攻撃に至るような肖像の使用は適法な引用にあたらないとされる。
「他人の著作物を引用して利用することが許されるためには,引用して利用する方法や態様が,報道,批判,研究など引用するための各目的との関係で,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであり,かつ,引用して利用することが公正な慣行に合致することが必要である。」「本件写真ビラは,専ら,公明党,原告及池田を批判する内容が記載された宣伝用のビラであること,原告写真1の被写体の上半身のみを切り抜き,本件写真ビラ全の約一五パーセントを占める大きさて掲載し,これに吹き出しを付け加えていること等の掲載態様に照らすならば,原告の写真の著作物を引用して利用することが,前記判等の目的との関係で,社会通念に照らして正当な範囲内の利用であると解することはできず,また,このような態様で引用して利用することが公正な慣行に合致すると解することもできない。」(日蓮正宗ビラ事件・東京地判平15・2・26)

 引用により著作物を複製する場合には,引用した著作物の出所を,その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により,明示しなければならない(法第48条第1項第1号)。
 この規定に反して引用部分の出所を明示しなかったことが,公正な慣行に合致しないとした裁判例がある。
「引用に際しては,上記のとおり,引用部分を,括弧でくくるなどして,引用著作物と明瞭に区別することに加え,引用部分が被引用著作物に由来することを明示するため,引用著作物中に,引用部分の出所を明示するという慣行があることは,当裁判所に顕著な事実である。そして,このような慣行が,著作権法32条1項にいう『公正な』という評価に値するものであることは,著作権法の目的に照らして,明らかというべきである。」「ここにいう,出所を明示したというためには,少なくとも,出典を記載することが必要であり,特に,被引用著作物が翻訳の著作物である場合,これに加えて,著作者名を合わせて表示することが必要な場合が多いということができるであろう(著作権法48条1項,2項参照)。」
「このように,控訴人Aは,本件書籍に原告翻訳部分を掲載するに当たり,原告翻訳部分を括弧で区分することによって,他の部分と明瞭に区別して引用であることを明らかにはしたものの,原告翻訳部分を本件翻訳台本から複製したものであることも,翻訳者が被控訴人であることも明示しなかったのであるから,このような採録方法は,前認定の公正な慣行に合致するものということはできないというべきである。引用に際しては,上記のとおり,引用部分を,括弧でくくるなどして,引用著作物と明瞭に区別することに加え,引用部分が被引用著作物に由来することを明示するため,引用著作物中に,引用部分の出所を明示するという慣行があることは,当裁判所に顕著な事実である。そして,このような慣行が,著作権法32条1項にいう『公正な』という評価に値するものであることは,著作権法の目的に照らして,明らかというべきである。」(絶対音感事件・東京高判平14・4・11)

引用の目的上正当な範囲内であること

 引用される著作物のうち,引用された部分と引用されなかった部分との関係性を問う要件である。
 正当な範囲内かどうかは,報道,批評,研究その他の引用の目的に応じて判断される。

教育,試験のための利用(法第33条~第36条)

教科書への掲載(法第33条)

 公表された著作物は,学校教育の目的上必要と認められる限度において,検定済み教科用図書に掲載することができる(法第33条第1項)。
 ・著作者への通知,補償金の支払いが必要(同条第2項)。
 ・出所の明示が必要(法第48条第1項第1号)。
 ・翻訳,編曲,変形又は翻案による利用が可能(法第47条の6第1項第1号)。
 ・用字又は用語の変更その他の改変で,学校教育の目的上やむを得ないと認められるものには同一性保持権が適用されない(法第20条第2項第1号)。
 ・この規定の適用を受けて適法に作成された教科書は,譲渡により公衆に提供することができる(法第47条の7)。

教科書代替教材への掲載(法第33条の2)

 教科用図書に掲載された著作物は,学校教育の目的上必要と認められる限度において,教科用図書代替教材に掲載し,及び教科用図書代替教材の当該使用に伴つていずれの方法によるかを問わず利用することができる(法第33条の2第1項)。
 「教科用図書代替教材」とは,教科書の内容を電磁的に記録したもの(学校教育法第34条第2項)。
 ・教科書発行者への通知,補償金の支払いが必要(法第33条の2第2項)。
 ・出所の明示が必要(法第48条第1項第1号)。
 ・変形又は翻案による利用が可能(法第47条の6第1項第4号)。
 ・用字又は用語の変更その他の改変で,学校教育の目的上やむを得ないと認められるものには同一性保持権が適用されない(法第20条第2項第1号)。
 ・この規定の適用を受けて適法に作成された教科書は,譲渡により公衆に提供することができる(法第47条の7)。ただし,学校教育目的以外の目的のために公衆に譲渡する場合は,この限りでない(同条ただし書)。

教科用拡大図書等の作成のための複製(法第33条の3)

 教科用図書に掲載された著作物は,視覚障害,発達障害その他の障害により教科用図書に掲載された著作物を使用することが困難な児童又は生徒の学習の用に供するため,当該教科用図書に用いられている文字,図形等の拡大その他の当該児童又は生徒が当該著作物を使用するために必要な方式により複製することができる(法第33条の3第1項)。
 ・教科書発行者への通知,営利目的の場合は補償金の支払いが必要(同条第2項)。
 ・出所の明示が必要(法第48条第1項第1号)。
 ・用字又は用語の変更その他の改変で,学校教育の目的上やむを得ないと認められるものには同一性保持権が適用されない(法第20条第2項第1号)。
 ・この規定の適用を受けて適法に作成された教科書は,譲渡により公衆に提供することができる(法第47条の7)。ただし,学校教育目的以外の目的のために公衆に譲渡する場合は,この限りでない(同条ただし書)。

学校教育番組の放送(法第34条)

 公表された著作物は,学校教育の目的上必要と認められる限度において,学校向けの放送番組において放送し,当該放送番組用の教材に掲載することができる(法第34条第1項)。
 ・著作者への通知,補償金の支払いが必要(同条第2項)。
 ・出所の明示が必要(法第48条第1項第1号)。
 ・用字又は用語の変更その他の改変で,学校教育の目的上やむを得ないと認められるものには同一性保持権が適用されない(法第20条第2項第1号)。
 ・この規定の適用を受けて適法に作成された複写物は,譲渡により公衆に提供することができる(法第47条の7)。

教育機関における複製(法第35条)

 学校において教育を担任する者及び授業を受ける者は,その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には,必要と認められる限度において,公表された著作物を複製することができる(法第35条第1項)。
 公表された著作物については,学校における授業の過程において,授業を直接受ける者に対して当該著作物をその原作品若しくは複製物を提供し,若しくは提示して利用する場合,当該著作物を第三十八条第一項の規定により上演し,演奏し,上映し,若しくは口述して利用する場合には,当該授業が行われる場所以外の場所において当該授業を同時に受ける者に対して公衆送信を行うことができる(同条第2項)。
 ただし,著作権者の利益を不当に害することとなる場合は,この限りでない(第1項及び第2項ただし書)。
 ・慣行があるときは出所の明示が必要(法第48条第1項第3号)。
 ・この規定の適用を受けて適法に作成された教科書は,譲渡により公衆に提供することができる(法第47条の7)。ただし,学校教育目的以外の目的のために公衆に譲渡する場合は,この限りでない(同条ただし書)。

試験問題としての複製(法第36条)

 公表された著作物については,入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において,当該試験又は検定の問題として複製し,又は公衆送信(放送又は有線放送を除く。)を行うことができる(法第36条第1項)。
 ・営利目的の場合は通常の使用料に相当する補償金の支払いが必要(同条第2項)。
 ・慣行があるときは出所の明示が必要(法第48条第1項第3号)。

 市販の問題集には適用がない。(なぜなら,試験問題の漏えい防止のための規定だから。)
「しかしながら,教科書に掲載されている本件各著作物が本件国語テストに利用されることは,当然のこととして予測されるものであるから,本件国語テストについて,いかなる著作物を利用するかということについての秘密性は存在せず,そうすると,そのような秘密性の故に,著作物の複製について,あらかじめ著作権者の許諾を受けることが困難であるような事情が存在するということもできない。」
「よって,被告等が,本件各著作物を本国語テストに複製することは,著作権法36条1項所定の「試験又は検定の問題」としての複製に当たるものではない。(教科書準拠国語テスト事件・東京地判平15・3・28)

 →入社試験には適用があると考えられる。

営利を目的としない上演等(法第38条)

上演,演奏,上映,口述(同条第1項)

 公表された著作物は,営利を目的とせず,かつ,聴衆又は観衆から料金を受けない場合には,公に上演し,演奏し,上映し,又は口述することができる。ただし,当該上演,演奏,上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は,この限りでない(同条第1項)。

放送,自動公衆送信(同条第2項)

 放送される著作物は,営利を目的とせず,かつ,聴衆又は観衆から料金を受けない場合には,有線放送し,又は専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信を行うことができる(同条第2項)。

 →「放送される著作物」を放送と同時に有線放送することが認められる。放送の録画を有線放送することは認められない。
 →「放送」は認められない。

伝達(同条第3項)

 放送され、又は有線放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる(同条第3項)。
 →「放送される著作物」を放送と同時に伝達,非営利,無料の場合。 ex) 街頭テレビ。

 通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、公に伝達することができる(同条第3項)。
 →家庭用受信装置を利用して放送と同時に伝達する場合は,営利目的でも可能である。 ex) 店舗に家庭用テレビを設置して見せる場合。

貸与(同条第4項)

 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は,営利を目的とせず,かつ,その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には,その複製物の貸与により公衆に提供することができる(同条第4項)。

 →ex) 図書館での貸し出し。

貸与による頒布(同条第5項)

 非営利視聴覚教育施設は,公表された映画の著作物を,その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には,その複製物の貸与により頒布することができる(同条第5項)。
 当該頒布を行う者は,相当な額の補償金を支払わなければならない(同条第5項)。

 →公営の視聴覚教育施設,自治体の図書館。

所有権との調整(法第45条~第47条の3)

美術著作物等の原作品の所有者による展示(法第45条)

 美術の著作物若しくは写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は,これらの著作物をその原作品により公に展示することができる(法第45条第1項)。
 美術の著作物の原作品を街路,公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には,適用しない(同条第2項)。

公開の美術の著作物等の利用(法第46条)

 美術の著作物でその原作品が前屋外の場所に恒常的に設置されているもの,又は建築の著作物は,次に掲げる場合を除き,いずれの方法によるかを問わず,利用することができる(同条)
 ① 彫刻を増製し,又はその増製物の譲渡により公衆に提供する場合(同条第1号)
 ② 建築の著作物を建築により複製し,又はその複製物の譲渡により公衆に提供する場合(同条第2号)
 ③ 屋外の場所に恒常的に設置するために複製する場合(同条第3号)
 ④ 専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し,又はその複製物を販売する場合(同条第4号)

 路線バスの車体に作品を描いたことが「恒常的に設置」にあたるとされ,4号にもあたらないとされた裁判例がある。
「前記の趣旨に照らすならば,同条所定の『恒常的に設置する』とは,社会通念上,ある程度の長期にわたり継続して,不特定多数の者の観覧に供する状態に置くことを指すと解するのが相当である。原告作品が車体に描かれた本件バスは,特定のイベントのために,ごく短期間のみ運行されるのではなく,他の一般の市営バスと全く同様に,継続的に運行されているのであるから,原告が,公道を定期的に運行することが予定された市営バスの車体に原告作品を描いたことは,正に,美術の著作物を『恒常的に設置した』というべきである。」
「本件書籍を見る者は,本文で紹介されている各種自動車の一例として,本件バスが掲載されているとの印象を受けると考えられること等の事情を総合すると,原告作品が描かれた本件バスの写真を被告書籍に掲載し,これを販売することは,『専ら』美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し,又はその複製物を販売する行為には,該当しないというべきである。」(はたらくじどうしゃ事件・東京地判平13・7・25)

美術の著作物等の展示に伴う複製等(法第47条)

 美術の著作物又は写真の著作物の原作品展示者は,観覧者のために展示著作物の解説,紹介をすることを目的とする小冊子に当該展示著作物を掲載し,上映し,自動公衆送信を行うために必要と認められる限度において,当該展示著作物を複製することができる(同条第1項)。

美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等(法第47条の2)

 美術の著作物又は写真の著作物の原作品又は複製物の所有者その他のこれらの譲渡又は貸与の権原を有する者が,その原作品又は複製物を譲渡し,又は貸与しようとする場合には,その申出の用に供するため,これらの著作物について複製又は公衆送信を行うことができる(同条)。
 →ただし一定の再複製防止措置が必要とされる(同条かっこ書)。

プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等(法第47条の3)

 プログラムの著作物の複製物の所有者は,自ら当該著作物を電子計算機において実行するために必要と認められる限度において,当該著作物を複製することができる(同条)。

 法第47条の4については,→ https://www.kkip-law.org/2018/10/105.html を参照。

その他の権利制限

軽微利用(法第30条の2~同条の4)

付随対象著作物の利用(同条の2)

 写真の撮影,録音又は録画の方法によつて著作物を創作するに当たって,当該著作物に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音から分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著作物は,当該創作に伴つて複製することができる(同条第1項)。
 これにより複製された付随対象著作物は,写真等の著作物の利用に伴つて,いずれの方法によるかを問わず,利用することができる(同条第2項)。

 →ex) 風景の撮影にポスターが写り込んだ場合。

検討の過程における利用(同条の3)

 著作権者の許諾を得て著作物を利用しようとする者は,これらの利用についての検討の過程における利用に供することを目的とする場合には,その必要と認められる限度において,いずれの方法によるかを問わず,当該著作物を利用することができる(同条)。

 「利用しようとする者」→著作権者から許諾を得る前の検討段階での利用の場合。

思想又は感情の享受を目的としない利用(同条の4)

 著作物は,当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には,その必要と認められる限度において,いずれの方法によるかを問わず,利用することができる(同条)。
 ① 著作物の録音,録画その他の利用に係る技術の開発又は実用化のための試験の用に供する場合
 ② 情報解析の用に供する場合
 ③ 著作物の表現についての人の知覚による認識を伴うことなく当該著作物を電子計算機による情報処理の過程等で利用する場合

 → https://www.kkip-law.org/2018/10/104.html 参照。

図書館等における複製(法第31条)

 図書館等においては,次に掲げる場合には,その営利を目的としない事業として,図書館資料を用いて著作物を複製することができる(同条第1項)。
 ① 利用者の求めに応じ,その調査研究の用に供するために,公表された著作物の一部分の複製物を一人につき一部提供する場合(同項第1号)
 ② 図書館資料の保存のため必要がある場合(同項第2号)
 ③ 他の図書館等の求めに応じ,絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料の複製物を提供する場合(同項第3号)

 同条第2項,第3項は国立国会図書館の規定。

障害者のための利用(法第37条,同条の2)

 公表された著作物は、点字により複製することができる(法第37条)。
 公表された聴覚著作物について,必要と認められる限度において,これを文字にすることその他当該聴覚障害者等が利用するために必要な方式により,複製し,又は自動公衆送信を行うことができる(同条の2)。

報道,国家活動のための利用(法第39条~第42条の2)

 行政庁内の利用であっても,行政活動を円滑化することを超えた利用は認められない。
「社会保険庁職員による本件著作物の複製は,本件著作物を,本件掲示板用の記録媒体に記録する行為であり,本件著作物の自動公衆送信を可能化する行為にほかならない。そして,42条1項は,『著作物は・・・行政の目的のために内部資料として必要と認められる場合には,その必要と認められる限度において,複製することができる。』と規定しているとおり,特定の場合に,著作物の複製行為が複製権侵害とならないことを認めた規定であり,この規定が公衆送信(自動公衆送信の場合の送信可能化を含む。)を行う権利の侵害行為について適用されないことは明らかである。」「また,42条1項は,行政目的の内部資料として必要な限度において,複製行為を制限的に許容したのであるから,本件LANシステムに本件著作物を記録し,社会保険庁の内部部局におかれる課,社会保険庁大学校及び社会保険庁業務センター並びに地方社会保険事務局及び社会保険事務所内の多数の者の求めに応じ自動的に公衆送信を行うことを可能にした本件記録行為については,実質的にみても,42条1項を拡張的に適用する余地がないことは明らかである。」(社保庁LAN事件・東京地判平20・2・26)

公的アーカイブのための利用(法第42条の3,法第43条)

 公文書館による歴史公文書の複製,利用(法第42条の3)。
 国立国会図書館によるインターネット資料の記録(法第43条)。

放送事業者による一時固定(法第44条)


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