【著作権】著作権の存続期間(著作権法の基本をおさらい-08-)

 今回は著作権の存続期間についておさらいします。
→自分のための勉強ノートを残します。

(事件名は「著作権法入門」(島並・上野・横山,有斐閣)を参考にさせていただきました。)


目次
著作権の存続期間
1 存続期間の原則
 (1) 著作権の発生時期
 (2) 著作権の消滅時期
2 存続期間の例外
 (1) 無名・変名の著作物
 (2) 団体名義の著作物
 (3) 映画の著作物
 (4) 継続的刊行物等の公表の時
 (5) 戦時加算

著作権の存続期間

存続期間の原則

著作権の発生時期

 著作権の存続期間は,著作物の創作の時に始まる(法第51条第1項)。

著作権の消滅時期

 著作権は,著作者の死後70年を経過するまでの間,存続する(同条第2項)。

 ・ 共同著作物の場合は,最終に死亡した著作者の死後70年(同項かっこ書)。

 ・ 70年の期間の終期を計算する場合,死亡日の属する年の翌年の元日から起算(法第57条)。
  その69年後の大晦日が経過して消滅する(暦年主義)。
  したがって著作者の死亡日まで確定しなくてもよい。

存続期間の例外

無名・変名の著作物

 無名・変名の著作物は,公表後70年を経過するまでの間,存続する(法第52条第1項)。
 ・「変名」とは,雅号,筆名,略称その他実名に代えて用いられるもの(法第14条)。

 ←著作者が誰でいつ死亡したかが分かりにくいから。
 →したがって,いつ死亡したかが分かるような場合は原則どおり死後70年となる(同条第2項)。

 ・著作者の変名がその者のものとして周知のものであるとき(同項第1号)。
 ・存続期間内に実名の登録があつたとき(第2号)。
 ・存続期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したとき(第3号)。
 ・著作者の死亡後70年を経過していると認められる場合(同条第1項ただし書)。

 暦年主義によって終期を計算することは原則の場合と同じ。

団体名義の著作物

 団体名義の著作物も,公表後70年を経過するまでの間,存続する(法第53条第1項)。

 ←法人は死亡しないし,団体内で誰が著作者なのかその死亡日が分かりにくいから。
 →したがって,個人の著作者が分かるような場合は適用されない。
 ・ 団体名義の著作物の著作者である個人がその実名,周知の変名を著作者名として表示して公表したとき(同条第2項)。

 創作後70年以内に公表されなかったときは,その創作後70年に存続期間が限定される(同条第1項かっこ書)。

 法人等が著作者とされるプログラムの職務著作物(法第15条第2項)については,名義にかかわらずこの規定が適用される(同条第3項)。

映画の著作物

 映画の著作物も,公表後70年を経過するまでの間,存続する(法第54条第1項)。

 映画の著作物の著作権が存続期間の満了により消滅したとき,その原著作物(原作小説や脚本など)の著作権は,当該映画の著作物の利用に関しては,当該映画の著作物の著作権とともに消滅したものとされる(同条2項)。
 →映画の著作物の利用と言えない利用の場合は消滅しない。

 創作後70年以内に公表されなかつたときは、その創作後70年に存続期間が限定される(同条第1項かっこ書)。

 2004年1月1日施行の2003年改正により,施行の際に著作権が消滅していない映画の著作物については,存続期間が70年に延長された。1953年公開の映画は2003年12月31日で存続期間が満了するので,70年に延長されないこととなる。
「映画の著作物の保護期間の延長措置等を定めた著作権法の一部を改正する法律が,平成15年6月12日に成立し,平成16年1月1日から施行された。これにより,映画の著作物の保護期間は,原則として公表後70年を経過するまでとされることとなった。なお,本件改正法附則2条は,この保護期間の延長措置の適用に関し,『改正後の著作権法……第54条第1項の規定は,この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の著作物について適用し,この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が消滅している映画の著作物については,なお従前の例による』旨を規定している。」
「上告人らは,本件経過規定中の『この法律の施行の際現に』という文言は,当該法律の施行の直前の状態を指すものと解すべきであるのに,これを『この法律の施行の日において』と同義に理解し,本件改正後の著作権法54条1項の適用を否定した原審の判断には,本件経過規定の解釈適用を誤った法令違反があると主張する。」
「本件経過規定における本件文言についても,本件文言の一般用法と異なる用いられ方をしたものと解すべき理由はなく,『この法律の施行の際現に改正前の著作権法による著作権が存する映画の著作物』とあるのは,本件改正前の著作権法に基づく映画の著作物の保護期間が,本件改正法の施行日においても現に継続中である場合を指し,その場合は当該映画の著作物の保護期間については本件改正後の著作権法54条1項が適用されて原則として公表後70年を経過するまでとなることを明らかにしたのが本件経過規定であると解すべきである。」「したがって,本件映画を含め,昭和28年に団体の著作名義をもって公表された独創性を有する映画の著作物は,本件改正による保護期間の延長措置の対象となるものではなく,その著作権は平成15年12月31日の終了をもって存続期間が満了し消滅したというべきである。」(シェーン事件・最判平19・12・18)

 ただし,著作者が映画会社ではなく監督個人であるとされる場合は,公表時から起算した存続期間によって著作権が消滅したと言えないことがある。
「昭和45年改正法16条は,映画著作物につき,『映画の著作物の著作者は,その映画の著作物において翻案され,又は複製された小説,脚本,音楽その他の著作物の著作者を除き,制作,監督,演出,撮影,美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者とする。』と規定しているが,同法附則4条は,『新法第15条及び第16条の規定は,この法律の施行前に創作された著作物については,適用しない。』と規定している。」
「ところで,一般に,映画の著作物の場合,その製作において,脚本,制作,監督,演出,俳優,撮影,美術,音楽,録音,編集の担当者など多数の者が関与して創り出される総合著作物であり,その中に,関与した多数の者の個別的な著作物をも包含するものであるが,映画として一つのまとまった作品を創り出しているのであるから,旧法においても,映画著作物の全体的形成に創作的に寄与した者が映画著作物の著作者であるというべきであり,この者が旧法3条の『著作者』に当たるものと解すべきである。」
「これを本件9作品についてみると,前記認定のとおり,いずれも,チャップリンが原作,脚本,制作ないし監督,演出,主役等を1人数役で行っており,上記作品は,その発案から完成に至るまでの制作活動のほとんど又は大半をチャップリンが行っているところ,その内容においても,チャップリン自身の演技,演出等を通じて,チャップリンの思想・感情が顕著に表れているものであるから,映画著作物の全体的形成に創作的に寄与した者はチャップリンであり,チャップリンが旧法3条の『著作者』に当たるものというべきである。」
「『サニーサイド』,『偽牧師』,『巴里の女性』,『黄金狂時代』,『街の灯』及び『モダン・タイムス』は,米国著作権局の登録においてチャップリンが著作者とされているところ,公表された画像においても,チャップリンが上記各映画著作物の全体的形成に創作的に寄与した者であることが示されているから,旧法3条の実名による著作者の公表があるものと認められる。」「『独裁者』,『殺人狂時代』及び『ライムライト』は,公表された画像において,チャップリンが上記各映画著作物の全体的形成に創作的に寄与した者であることが示されている以上,旧法3条の実名による著作者の公表があるものと認めるのが相当である。」
「上記判決において,映画『シェーン』が,米国法人の著作名義をもって公表された著作物であるとして旧法6条を適用されていることは,当裁判所に顕著である。」「しかし,本件9作品は,いずれも,チャップリンが映画著作物の全体的形成に創作的に寄与した者であって,チャップリンが旧法3条の『著作者』に当たるものというべきであり,しかも,団体の著作名義をもって公表された著作物であるともいえないから,映画『シェーン』の場合とは事案を異にするものであって,これと同列に論ずることはできない。」(チャップリン事件・知財高判平20・2・28)

継続的刊行物等の公表の時

 上記例外で終期の起算点となる「公表の時」は,冊,号又は回を追つて公表する著作物(継続的刊行物)については,毎冊,毎号又は毎回の公表の時によるものとされる(法第56条第1項)。 ex) 新聞,雑誌。

 一部分ずつを逐次公表して完成する著作物(逐次公表著作物)については,最終部分の公表の時によるものとされる(同条項)。 ex) 連載漫画。
 ・なお,継続すべき部分が直近の公表の時から3年を経過しても公表されないときは,すでに公表されたもののうちの最終の部分をもって最終部分の公表とみなされる(同条第2項)。

戦時加算

 昭和16年12月7日(第2次世界大戦開戦の前日)に連合国及び連合国民が有していた著作権

→ 著作権法に規定する通常の存続期間に,昭和16年12月8日(開戦日)から日本国と当該連合国との間の平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間を加算した期間,継続する(連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律第4条第1項)。
ex)アメリカ合衆国の場合,「平和条約が効力を生ずる日」は1952年4月28日。→3794日が加算される。

 昭和16年12月8日から日本国と当該連合国との間の平和条約が効力を生ずる日の前日までに,連合国又は連合国民が取得した著作権

→ 著作権法に規定する通常の存続期間に,その著作権を取得した日から日本国と当該連合国との間の平和条約が効力を生ずる日の前日までの期間を加算した期間,継続する(同条第2項)。

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