【著作権】著作権の内容(著作権法の基本をおさらい-06-)

 今回は著作権の内容についておさらいします。
→自分のための勉強ノートを残します。

(事件名は「著作権法入門」(島並・上野・横山,有斐閣)を参考にさせていただきました。)


目次
著作権の内容
1 著作物の複製
 (1) 複製権
2 著作物の提示
 (1) 上演権・演奏権
 (2) 上映権
 (3) 公衆送信権
 (4) 伝達権
 (5) 口述権
 (6) 展示権
3 著作物の提供
 (1) 頒布権
 (2) 譲渡権
 (3) 貸与権
4 二次的著作物に関する権利
 (1) 翻訳権,編曲権,変形権,翻案権
 (2) 二次的著作物の利用権

著作権の内容

 著作権の内容は,支分権の束である。
 支分権を利用態様ごとに見ると,次のように分類することができる。

著作物の複製

複製権(法第21条)

 「著作者は,その著作物を複製する権利を専有する。」(法第21条)
 
 「複製」について,「印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製すること」と定義されている(法第2条第1項第15号)。
 「有形的再製」であるかどうかは,将来,反復して使用される可能性のある固定であるかどうかによる。

 表現手段が異なっても複製にあたる。例えば,イラストをもとに人形を作成する行為。
 これを前提に,次のような規定が確認的に置かれている。

 ・演劇用の著作物(脚本等)について,その「上演,放送又は有線放送を録音し,又は録画すること」が複製にあたる(同号イ)。
 ・建築の著作物について,「建築に関する図面に従つて建築物を完成すること」が,完成していない建築の著作物の複製にあたる(同号ロ)。
  (なお建築設計図面には完成していなくても建築著作物が化体している。)

著作物の提示

上演権・演奏権(法第22条)

 「著作者は,その著作物を,公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し,又は演奏する権利を専有する。」(法第22条)

 「公衆」には,「特定かつ多数の者」が含まれる(法第2条第5項)。
  →「公衆」にあたらないのは特定かつ少数の者だけということになる。

「著作権法二六条の三にいう『公衆』については,同法二条五項において特定かつ多数の者を含むものとされているところ,特定かつ少数の者のみが貸与の相手方になるような場合は,貸与権を侵害するものではないが,少数であっても不特定の者が貸与の相手方となる場合には,同法二六条の三にいう『公衆』に対する提供があったものとして,貸与権侵害が成立するというべきである。」
「本件のように,プログラムの作物について,リース業者がリース料を得て当該著作物を貸与する行為は,不特定の者に対する提供行為と解すべきものである。けだし,『特定』というのは,貸与者と被貸与者との間に人的な結合関係が存在することを意味するものと解されるところ,リース会社にとってのリース先(すなわちユーザ)は,専ら営業行為の対象であって,いかなる意味においても人的な結合関係を有する関係と評価することはできないからである」(NTTリース事件・東京地判平16・6・18)

 見せたり聞かせたりする相手がその場で特定されていたとしても,相手となることに特に制限がなければ,不特定の者とされる。
「著作物の公衆に対する使用行為に当たるか否かは,著作物の種類・性質や利用態様を前提として,著作権者の権利を及ぼすことが社会通念上適切か否かという観点をも勘案して判断するのが相当である(このような判断の結果,著作権者の権利を及ぼすべきでないとされた場合に,当該使用行為は「特定かつ少数の者」に対するものであると評価されることになる。)。」「本件各施設におけるダンス教授所の経営主体である被告らは,ダンス教師の人数及び本件各施設の規模という人的,物的条件が許容する限り,何らの資格や関係を有しない顧客を受講生として迎え入れることができ,このような受講生に対する社交ダンス指導に不可欠な音楽著作物の再生は,組織的,継続的に行われるものであるから,社会通念上,不特定かつ多数の者に対するもの,すなわち,公衆に対するものと評価するのが相当である。」(社交ダンス教室事件・名古屋地判平15・2・7)

 「上演」について,「演奏以外の方法により著作物を演ずること」と定義されている(法第2条1項16号)。
 「演奏」には,「歌唱」も含まれる(同号かっこ書)。

 「上演」「演奏」には,上演,演奏を録音,録画したもの(DVDやCD)を再生すること,電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く),が含まれる(法第2条第7項)。

 →法第38条による権利制限がある。

上映権(法第22条の2)

 「著作者は,その著作物を公に上映する権利を専有する。」(法第22条の2)

 「上映」について,「著作物を映写幕その他の物に映写すること」と定義されている(法第2条第1項第17号)。

 映画のセリフや音楽の再生は,本来であれば上演や演奏にあたることになるが,映画の上映に伴つて「映画の著作物において固定されている音を再生すること」は,上映に含むものとされている(同号後段)。

 →法第38条による権利制限がある。

公衆送信権(法第23条第1項)

 「著作者は,その著作物について,公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。」(法第23条第1項)

 「公衆送信」について,「公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うこと」と定義されている(法第2条第1項第7号の2)。
 ただし,同一構内における送信は含まれない(同号かっこ書)。なぜなら,送信前の行為を演奏,上演などとしてとらえれば足りる。
 しかし,プログラム著作物の送信は,送信前の行為を演奏,上演としてとらえられないため,同一構内における送信が公衆送信にあたるとされている(同かっこ書のかっこ書)。

 「送信可能化」とは,インターネットに接続されたサーバーに情報をアップロードすること,情報が記録されたサーバーをインターネットに接続することをいう(法第2条第1項第9号の5)。
 自動公衆送信に送信可能化を含むとされたのは,実際に送信があったかどうかを把握できない場合にも著作権侵害を問えるようにするためである。
 →とはいえ,サーバーに情報を記録する時点で「複製」となり,複製しないで送信されれば「公衆送信」となる。

伝達権(法第23条第2項)

 「著作者は,公衆送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。」(法第23条第2項)

 →法第38条による権利制限がある。

 公衆送信された著作物を録音,録画して公に伝達することは,ここに含まれない。
 →このような行為は,複製+上演,演奏等にあたる。

口述権(法第24条)

 「著作者は,その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。」(法第24条)

 「口述」について,「朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること」と定義されている(法第2条第1項第18号)。
 ただし,「実演に該当するもの」が除かれている(同号かっこ書)。
 この「実演」については,「著作物を,演劇的に演じ,舞い,演奏し,歌い,口演し,朗詠し,又はその他の方法により演ずること」と定義されているので(同項第3号),芸能的な性質のない講義や授業などがこれにあたる。

 「口述」には,「上演」「演奏」と同様に,口述をを録音,録画したもの(DVDやCD)を再生すること,電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く),が含まれる(法第2条第7項)。

展示権(法第25条)

 「著作者は,その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。」(法第25条)

 →美術の著作物及び写真の著作物の所有者(及びその同意を得た者)は現作品を公に展示できるという所有権との調整規程がある(法第45条第1項)。
 ただし,美術の著作物について,「原作品を街路,公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合には」,展示権が及ぶ(同条第2項)。

 なお,写真の著作物が未発行のものに限られているのは,原作品との区別がつきにくいからという理由による。

著作物の提供

頒布権(法第26条)

 「著作者は,その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。」(法第26条第1項)
 「著作者は,映画の著作物において複製されているその著作物を当該映画の著作物の複製物により頒布する権利を専有する。」(同条第2項)

 「頒布」については,「有償であるか又は無償であるかを問わず,複製物を公衆に譲渡し,又は貸与すること」と定義されている(法第2条第1項第19号)。

 映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物(音楽など)については,「これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し,又は貸与することを含む」と定義されている(同号)。
 公衆に提示する目的であれば特定少数者に譲渡や貸与する行為が著作権侵害となる。特定の映画館に対する貸与を侵害行為とするためである。

 頒布権の規定(法第26条)には,譲渡権のように消尽規定(法第26条の2第2項)が設けられていない。
 →劇場映画フィルムについては配給制度があり,適法に譲渡された複製物であっても,その譲渡には著作権者の許諾が必要である。
 →しかし,一般消費者向けのDVDについては,頒布権は消尽する。
「原審が適法に確定した事実関係の下においては,本件各ゲームソフトが,著作権法2条3項に規定する『映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され,かつ,物に固定されている著作物』であり,同法一〇条一項七号所定の『映画の著作物』に当たるとした原審の判断は,正当として是認することができる。」(→本件ゲームソフトは映画の著作物に該当する。
「本件各ゲームソフトが映画の著作物に該当する以上,その著作権者が著作権法26条1項所定の頒布権を専有すると解すべきである。同項の規定上は,劇場用映画か否か,複製物が少数製造されるか否か,又は視聴者が多数か否かによって区別されていないから,大量の複製物が製造され,その一つ一つは少数の物によってしか視聴されないものという漠然とした基準で,本件各ゲームソフトが頒布権の対象となる複製物に該当しないとした原審の前記3の判断は,相当でない。」(→法第26条第1項の頒布権が認められる。
「ところで,映画の著作物の頒布権に関する著作権法26条1項の規定は,文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(1948年6月26日にブラッセルで改正された規定)が映画の著作物について頒布権を設けていたことから,現行の著作権法制定時に,条約上の義務の履行として規定されたものである。映画の著作物にのみ頒布権が認められたのは,映画製作には多額の資本が投下されており,流通をコントロールして効率的に資本を回収する必要があったこと,著作権法制定当時,劇場用映画の取引については,前記のとおり専ら複製品の数次にわたる貸与を前提とするいわゆる配給制度の慣行が存在していたこと,著作権者の意図しない上映行為を規制することが困難であるため,その前段階である複製物の譲渡と貸与を含む頒布行為を規制する必要があったこと等の理由によるものである。このような事情から,同法26条の規定の解釈として,上記配給制度という取引実態のある映画の著作物又はその複製物については,これらの著作物等を公衆に提示することを目的として譲渡し,又は貸与する権利(同法26条,2条1項19号後段)が消尽しないと解されていたが,同法26条は,映画の著作物についての頒布権が消尽するか否かについて,何らの定めもしていない以上,消尽の有無は,専ら解釈にゆだねられていると解される。」(→頒布権が消尽するかどうかは解釈にゆだねられている。
「そして,本件のように公衆に提示することを目的としない家庭用テレビゲーム機に用いられる映画の著作物の複製物の譲渡については,市場における商品の円滑な流通を確保するなど,上記(ア),(イ)及び(ウ)の観点から,当該著作物の複製物を公衆に譲渡する権利は,いったん適法に譲渡されたことにより,その目的を達成したものとして消尽し,もはや著作権の効力は,当該複製物を公衆に再譲渡する行為には及ばないものと解すべきである。」(→本件ゲームソフトの頒布権は消尽する。
「そうすると,本件各ゲームソフトが,上告人を発売元として適法に販売され,小売店を介して需要者に購入されたことにより,当該ゲームソフトについては,頒布権のうち譲渡する権利はその目的を達成したものとして消尽し,もはや著作権の効力は,被上告人において当該ゲームソフトの中古品を公衆に再譲渡する行為には及ばない。」(中古ゲームソフト事件・最判平14・4・25)

譲渡権(法26条の2)

 「著作者は,その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあっては,当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。」(法26条の2)

 国際消尽を含めて,譲渡権消尽の規定が置かれている(同条第2項)。
 譲渡時において消尽規定に該当しないことにつき善意無過失であった物の譲渡は,譲渡権の侵害でないとみなされる(法第113条の2)。
 複製権の制限規定の適用を受けて複製された著作物は,目的の範囲内で公衆に譲渡することができる(法第47条の7)。

貸与権(法26条の3)

 「著作者は,その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては,当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。」(法26条の3)

 「貸与」には,「いずれの名義又は方法をもつてするかを問わず,これと同様の使用の権原を取得させる行為を含む」とされている(法第2条第8項)。
 →買戻し特約付きの譲渡も「貸与」にあたる。
「債務者らは,別紙物件目録(一)ないし(五)記載のカセットテープ,フロッピーディスク及びロムカートリッジを,顧客に貸与し,又は別紙記載の方法で顧客に使用させてはならない。」
「(別紙)中古販売方式と称し,中古販売価格の一割ないし全額を頭金又は代金とし,頭金又は代金を受領するのと引換に顧客に商品を引渡すと共に,顧客に返還約束又は再売買の予約又は約束をさせ,後日,返還日又は再売買日までの日数に応じた金員を頭金又は代金と精算のうえ顧客から徴収し,顧客に商品を返還させる方法。」(ソフトウェア・レンタル事件・東京地決昭62・4・6)

 →公表された著作物(映画の著作物を除く)の非営利かつ無料の貸与には貸与権が及ばない(法第38条第4項)。
 →建築の著作物の賃貸に貸与権は及ばない(法第46条)。

二次的著作物に関する権利

翻訳権,編曲権,変形権,翻案権(法第27条)

 「著作者は,その著作物を翻訳し,編曲し,若しくは変形し,又は脚色し,映画化し,その他翻案する権利を専有する。」(法第27条)

 「翻案」について,最高裁は,「既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう」と定義している(「江差追分事件」最判平13・6・28)。

二次的著作物の利用権(法第28条)

「二次的著作物の原著作物の著作者は,当該二次的著作物の利用に関し,この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。」(法第28条)

 →原著作物の著作権者には,二次的著作物の支分権が与えられる。

 二次的著作物として新たに付加された部分のみの利用にも原著作権物の著作者の権利が及ぶ。
「控訴人は,漫画のコマ絵には,漫画のストーリーを表しているコマ絵と,ストーリーを表していないコマ絵とがあり,漫画の物語作者と絵画作者とが異なる場合,後者のコマ絵は,物語原稿に依拠しておらずその翻案とはいえないから,物語原稿の二次的著作物には当たらず,原著作者の権利は及ばないと主張する。」
「しかしながら,著作権法28条は,『二次的著作物の原著作物の著作者は,当該二次的著作物の利用に関し,この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。』と規定しており,この規定によれば,原著作物の著作権者は,結果として,二次的著作物の利用に関して,二次的著作物の著作者と同じ内容の権利を有することになることが明らかであり,他方,控訴人が,二次的著作物である本件連載漫画(本件連載漫画自体が被控訴人作成の物語原稿の二次的著作物であることは,原判決の認定するとおりであり,控訴人も,当審においてはこれを争っていない。)の著作者として,本件連載漫画の利用の一態様としての本件コマ絵の利用に関する権利を有することも明らかである以上,本件コマ絵につき,それがストーリーを表しているか否かにかかわりなく,被控訴人が控訴人と同一の権利を有することも,明らかというべきである。」(キャンディ・キャンディ事件・東京高判平12・3・30)
「この事実関係によれば,本件連載漫画は被上告人作成の原稿を原著作物とする二次的著作物であるということができるから,被上告人は,本件連載漫画について原著作者の権利を有するものというべきである。そして,二次的著作物である本件連載漫画の利用に関し,原著作物の著作者である被上告人は本件連載漫画の著作者である上告人が有するものと同一の種類の権利を専有し,上告人の権利と被上告人の権利とが併存することになるのであるから,上告人の権利は上告人と被上告人の合意によらなければ行使することができないと解される。したがって,被上告人は,上告人が本件連載漫画の主人公キャンディを描いた本件原画を合意によることなく作成し,複製し,又は配布することの差止めを求めることができるというべきである。」(上記上告審・最判平13・10・25)