【著作権】オンライン授業と著作権~何がどうなったのか~


従来から,学校教育の妨げとならないように,一定の基準を満たす場合には著作物のコピーが認められていました。
一方,著作物のデータを生徒や学生に送信することは著作権侵害となり,権利者の許諾を得る必要がありました。
ところが新型コロナウイルスの感染拡大で政府の一斉休校要請があり,オンライン授業に注目が集まるようになりました。
そこで,オンライン授業にあたって,個別に権利者の許諾を得ずに著作物を利用できる制度が急きょ施行されたことは,ニュースなどで知られているところです。
何がどのようになったのでしょうか。

2018年の改正と施行日

資料だとかドリルだとか,無断で著作物をコピーするのは著作権侵害だよね?

基本的にそうですが,対面授業で使う資料としてコピーする場合は,無断かつ無償でコピーできるとされていました。
また,別会場へ同時配信して実施している授業のために送信することも,無断かつ無償でできることとされていました。

どうして対面授業だけってことになるの?

対面授業だとある程度の人数制限がかかりますが,オンライン配信まで認めると著作権者への打撃が大きいと考えたのではないでしょうか。

それ以外は著作権者の許諾が必要だったわけね。
個別に許諾を得るということになったら先生や学校はたいへんでしょうね。

インターネットを使って授業をするというのが一般的ではなかったですからね。
しかし時代は変わって授業にもデジタル機器が導入されるようになりましたし,インターネットはほとんどライフラインになりました。

それで2018年に著作権法が改正されたってわけね?

そのとおりです。
補償金制度を導入することにより,個別の許可をとらずにオンライン授業で著作物が利用できるように,2018年に著作権法が改正されました。

2年前に改正されてるってこと?

そうなんですが,その施行日が公布日から3年を超えない範囲で定めることとされていて,補償金額で合意が難航したため,制度開始のめどがたっていませんでした。

それが新型コロナによる休校要請があって,施行が前倒しされたのか。難航していた補償金額の合意はできたのかな。

とりあえず,2020年度だけは0円としました。それでひとまず論争を回避した,というところではないでしょうか。
そして2020年4月28日に,急きょ施行されることとなりました。

なるほど。じゃあ制度の中身としては,2018年改正著作権法を見ればいいということね。

授業目的公衆送信補償金制度

どういう改正がされたか,ひとことで教えて。

それはなかなか欲深い質問ですね。
じゃあ,できるだけひとことで言いますが,授業目的の場合に無許諾で認められていた行為を拡大した,拡大した部分については無償ではなく,教育機関から管理団体にまとめて補償金を支払うこととした,ということです。

いちいち許諾はとらなくていいけど,無償ではなくて補償金の支払いが必要なんだね。
だけどまとめて管理団体に支払っておけば,その管理団体が著作権者に分配してくれるってわけね。

そういうことですね。以前から,授業に使用する場合のコピーについても無償でいいのかという議論がありました。

行為が拡大されたってこと以外は以前と同じなの?

そうですね。対象施設は学校その他非営利の教育機関ですし,対象となる主体は教育を担当する先生と授業を受ける生徒や学生です。
利用目的の限度は,授業をするのに必要と認められる限度,ということになります。
著作権者の利益を不当に害しないこと,という要件も同様です。

対象行為

以前からできるのはどんなことだったのかな?

公表された著作物の複製と,著作物を利用して行う授業を遠隔地の会場へ同時中継するための公衆送信ですね。

このふたつは無許可かつ無償でできるということね。
改正法でできるようになったのは?

授業で使用する資料や教材を生徒や学生に送信することや,生徒や学生がダウンロードできるようにサーバーにアップロードすることができます。
また,公衆送信された著作物を受信装置を使って生徒や学生に見せることができます。

これには個別の許諾はいらないけど,補償金の支払いが必要だってこと?

補償金は公衆送信をする場合に必要になります。公衆送信とは別に,モニターで生徒に見せる行為に補償金が必要になるわけではありません。

そして2020年度は,その補償金が0円ということなんだね。

そういうことになりますね。

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