【著作権】海賊版対策 ~ダウンロード違法化~ ー2020法改正ー


著作権者の許諾を得ないでマンガや雑誌がウェブにアップロードされ,そのダウンロードによって漫画家や出版社の売上に打撃を与えたという事件が相次ぎました。
そのため,ダウンロード違法化の対象を拡大する法改正が提案されました。
しかし,違法化の対象が広すぎてインターネットによる情報収集が委縮するとの厳しい批判にさらされ,仕切り直しとなりました。
今回の法改正は,そのときの批判を受けて,対象からの除外をさまざまに定めています。

ダウンロード違法化の拡大

違法コンテンツのアップロードに関してはリーチサイト対策がされたってことだったよね。
ダウンロードは?

ダウンロードに関しては,違法となるダウンロードの対象が拡大がされています。

去年,改正法案が問題になって,いったん撤回されたんだったよね。

違法化の対象が広すぎて,たとえば違法コンテンツの一部分をスクリーンショットで取得したような場合まで違法とされるのでは,かえって文化の発展を阻害するのではないかなどと批判されていました。

今回は?

批判や提言を踏まえて,昨年の法案と比べると違法となる対象が除外事項によって絞られています。

私的使用の例外

私的に使用するための複製は認められてるんだよね?

原則として認められていますが,例外があります。
その例外の拡大が,今回のダウンロード違法化の拡大ということになります。

まず,改正前はどうだったのかな。

違法コンテンツであると知りながら,音楽や映像をダウンロードすることが例外の一つとされていました。

マンガや写真集なんかは対象になってなかったんだね。

それが今回の改正につながっています。

拡大されたダウンロードの違法化

音楽や映像以外のどういうダウンロードが違法化されたのかな?

基本的に,著作権者に無断でアップロードされた著作物の全部です。

マンガ,書籍,論文,コンピューターソフトなどなど。全部が対象になるんだねー。

昨年の法案に対する批判にも応えるため,拡大した部分については,そこから種々の態様を除外する形で,インターネットを通じた情報収集を委縮させないように配慮する形になっています。

なるほど。
音楽や映像については従来のままで,拡大された部分については除外事項が設けられたってわけね。
何が除外されているんだろう。

軽微なものの除外

まず,「軽微なもの」が除外されています(第30条第1項第4号)。

「軽微なもの」って?

著作物全体のうち複製された部分が占める割合や,ダウンロード時の画質(表示精度)などから,軽微かどうかが判断されます。

例がないとわからないよ。

文化庁の説明資料では,数十ページのマンガのうち数コマ,長文の論文や新聞記事のうち数行,数百ページの小節のうち数ページのダウンロードが「典型例」として挙げられています。

「表示精度」に関しては?

同じく文化庁の説明資料では,サムネイル画像のダウンロードが例に挙げられています。

写り込みの除外

去年の問題意識には,スクリーンショットでの写り込みに関する懸念があったよね。

現行法では,「写真撮影・録音・録画」によって「著作物を創作」する場合,「分離困難」な写り込みが複製可能とされています。
違法化の対象が拡大されることにより,スクリーンショットでの写り込みが違法になるのでは,情報収集が委縮するのではないかと言われていました。

今回の改正法では?

まず,「写真撮影・録音・録画」だけでなく,「事物の影像又は音の複製」「複製を伴うことなく伝達する行為」に拡大されました(第30条の2第1項)。

複製全般が対象になった上,生配信のような複製しない伝達での写り込みも対象になったんだね。

「著作物を創作するにあたって」という要件も削除されましたので,創作性が認められないような場合も含め,複製・伝達の全般での写り込みが対象になりました。

「分離困難」っていう要件は?

これは「正当な範囲内」であるかどうかの判断要素のひとつとされ,独立した要件ではなくなりました。
文化庁の説明資料では,子どもにぬいぐるみを抱かせて撮影する場合も「正当な範囲内」に入り得るとされています。

「正当な範囲内」かどうかの判断要素?

写り込んだ著作物によって利益を得ようとする目的があるか,分離困難性の程度,写り込んだ著作物の果たす役割,などを考慮して「正当な範囲内」にあるかどうかが判断されることになります(第30条の2第1項)。

子どもと一緒に写り込んだ著名なぬいぐるみを利用して注目を集め,利益を得ようとしていたとすると,分離困難とは言えないから,ぬいぐるみの果たす役割が大きければ,「正当な範囲内」にないと判断されることもあるわけね。

二次創作物の除外

翻訳以外の方法で創作された二次的著作物に関する原著作物の著作権も除外されています(第30条1項4号)。

なんだか複雑だな??

たとえば,原著作者の許諾なく創作されたパロディー作品を,そのことを知りながらダウンロードしても,原著作権の侵害行為にはならないということです。

パロディーの作者に無断でアップロードされたパロディー作品を,それを知りながらダウンロードした場合とは違うんだね。

パロディー作品に対して著作権侵害を主張するかどうかは,原著作権者の判断によるということですね。

著作権者の利益を不当に害しない場合の除外

情報収集の委縮を懸念して,違法化するのは著作権者の利益が不当に害される場合に限るべきであるという主張がなされていました。
そこで今回の法改正では,「著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合」は,除外されることになりました(同号)。

なんだか微妙だけど,「不当に害される場合に限る」じゃなくて,「不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く」なんだね。

ダウンロードしたした側が,不当に害しないことを立証しなければならないという建付けになっています。
しかもそれは「特別な事情」だとしている点も特徴ですね。

「特別な事情」ってたとえばどういうのが考えられるかな。

文化庁の説明資料では,「詐欺集団の作成した詐欺マニュアルを防犯目的でダウンロードする行為などが典型例」とされています。
こういう詐欺マニュアルを,詐欺集団と無関係な誰かがアップロードしている場合に,これを防犯目的でダウンロードしても違法とされない,という意味ですね。

主観的要件

違法にアップロードされたってことを知っててダウンロードする場合に違法とされるんだよね?(同号)

これは従来から同じですね。
ただし,従来から違法とされていた部分を含め,重過失によって知らなかった場合は知っていたことにならないという明文が設けられました(同条第2項)。

刑事罰

罰則はどうなったのかな?

正規版が有償で提供されている著作物について,拡大された部分の違法ダウンロード行為を,継続的に又は反復して行う場合,二年以下の懲役,200万円以下の罰金ということになっています(第119条第3項第2号)。

で,親告罪なんだね(第123条)。

そうですね。
告訴がなければ刑事裁判にかけることができません。

見直し規定

附則第5条で,罰則の適用にあたっては,「インターネットを利用して行う行為が不当に制限されることのないよう配慮しなければならない」とされています。
附則第6条で施行後1年での見直しが規定されていますので,運用を慎重に見守る必要がありますね。

施行日は,リーチサイト対策から少し遅れた2021年1月1日です!

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