【離婚】大きく報道された「嫡出推定制度の見直し」

「嫡出推定制度の見直し」とは

嫡出推定制度の見直しについて,法制審議会の中間試案が出されました。

「嫡出推定『再婚後なら夫の子』」(朝日新聞)という見出しで大きく報道されたので,よくご存じの方もいらっしゃると思います。

現行の嫡出推定制度のために,元夫の子として戸籍に書かれるのを避けるようと出生届を出さず,それが無戸籍者を生じさせているとして問題視されていました。

嫡出否認の申立てが母からできないことについての違憲性が争われ,最高裁でそれが否定されたということもありました。

どのような見直しがされようとしているのでしょうか。

現行の制度について

嫡出推定制度の見直しが行われているというニュースを見ました。

大きく報道されていましたね。
現行の民法では,母が離婚してから300日以内に生まれた子どもは離婚前の夫の子どもと推定されます。

母親がその子供の出生届を出すとどうなるのですか。

それが他の男性との間の子どもであった場合でも,離婚前の夫の子どもとして戸籍に入籍することになります。

本当の父親を父として出生届を出すことはできないのですか。

役所は,元夫と父子関係がないことについて審査や判断ができません。
だから,受け付けないでしょうね。

そうすると,離婚前の夫は,自分の子どもではないのに養育費を請求されることになりませんか。

そうですね。そういう場合,戸籍上の父からは嫡出否認の申立てができることになっています。

母親の方からはその申立てはできないのですか。

できません。そのことが違憲であると最高裁まで争われましたが,認められませんでした。

元夫が協力してくれない母親は,自分から打つ手がないということですか。

子どもを妊娠した時期以前から夫と別居していて一度も会ったことがないような場合は,親子関係不存在確認や強制認知の申立てをする方法があります。

そのような場合にあたるかどうか,一般人には分かりにくいです。

離婚後に子どもができたことの医師の証明書を,出生届とともに提出するという方法もありますね。

でも,その証明ができなければ使えないですね。

それで,元夫の子となるのを避けるために出生届を出さないという選択をする方がいます。

それが子どもの無戸籍問題ということですか。

見直しの方向性について

子どもはかわいそうですが,母親を責めるわけにもいかないですね。
どのような見直しが検討されていますか。

子どもの出生が,離婚してから300日以内であっても再婚後であれば,前夫の子と推定せず再婚した夫の子と推定することが検討されています。

再婚後であれば,としているのはどうしてなのですか。

どんな場合にも前夫の子と推定されないこととすると,子どもに推定される父がいないという不利益な事態が生じるからとされています。

なるほど。子どもに不利益になるようなことはできないですもんね。
他に見直しが検討されていることはありますか。

現在,婚姻後200日を経過するまでに生まれた子どもは夫の子と推定されず,原則として認知が必要になります。

えっ,そうだったんですか。しかし,今どきそういう子どもは少しも珍しくないでしょう。

そうですね。内縁の夫との間にできた子どもは,婚姻後200日以内に生れた場合でも認知手続を経ることなく出生によって嫡出子の身分を有するとの判例があり,役所も夫の子として出生届を受理しています。

じゃあ,どこに見直しの必要があるのですか。

役所は夫の子として受理しますが,夫の子と推定されるわけではありませんので,親子関係不存在確認を申立てて争うことができます。
親子関係不存在確認の申立てには期間の制限がありません。

長年父母の子どもとして過ごしてきたのに,たとえば相続争いの場で親子関係が争われる可能性があるのですね。

そのため,婚姻後に生まれた子どもは,それが200日以内であっても夫の子と推定してはどうかが検討されています。

夫の子と推定されると,嫡出否認を申立てられる期間を過ぎれば身分が安定するわけですね。

あれ,ちょっと待ってください。
再婚後に生まれた子どもが再婚した夫の子と推定されるのであれば,女性の再婚禁止期間100日は不要になるのではないですか。

そうですね。そのような見直しも検討されています。
それ以外に,嫡出否認の申立てを,子ども,母,生物学上の父など,推定される父以外に拡大して認めることが検討されています。
もし子どもが申し立てられるようになれば,親権者である母が,その法定代理人として申立てをすることができるようになります。

なるほど。ありがとうございました。

コメント