自己破産の法律

目次

1 自己破産とは
2 破産手続開始の申立て
 (1) 受任通知
 (2) 支払の停止
3 破産手続の開始
4 同時廃止
5 財産の清算手続き
6 免責手続き
7 事務所へのアクセス

自己破産とは

「自己破産」というのをよく耳にします。
どういうこというのですか。

まず,債務者の財産を清算する手続きのことを,破産手続といいます(破産法第2条第1項)。

すみません。それではよく分かりません。

もう少しかみくだいて言うと,借金の返済ができなくなった債務者の財産を金銭化して,これを債権者に分け与える手続き,ということになりますね。

身ぐるみ剥がれて債権者に持っていかれるということですか。

債務者の経済生活の再生の機会を確保することも破産手続の重要な目的の一つになっています(同法第1条)。
ですから,必ずしも「身ぐるみ剥がれる」というわけではありません。

なるほど。じゃあ,自己破産の「自己」っていうのはどういうことですか。

破産の申し立ては,債務者からだけでなく債権者からもできることになっています(同法第18条第1項)。
そこで,債務者から自分自身の破産を申し立てる場合を「自己破産」と呼んでいます。

破産手続開始の申立て

受任通知

実際の手続きはどのように進んでいくんですか。
弁護士に依頼したところから説明してください。

弁護士が自己破産の依頼を受けると,各債権者に受任通知を送ります。
受任通知には,今後の窓口は弁護士であることを記載します。

受任通知を送ると督促が止まると聞きました。

弁護士からの受任通知を受け取ると,貸金業者や債権回収会社は,債務者への取立てを法律で禁止されます(貸金業法第21条第1項第9号,サービサー法第18条第8項)。
それ以外のクレジット会社なども,弁護士を無視して直接本人に連絡することはなくなります。

安心して手続きを続けられるわけですね。

督促はいったん収まりますが,まだ借金は残ったままです。
手続が中途半端で終わるといっそう厳しい督促が復活しますから,気を抜かないで手続きは進めてくださいね。

支払の停止

弁護士による受任通知の送付は,破産法上の「支払の停止」にあたります。

それがどうかしたのですか。

支払の停止があると,銀行取引約定により,銀行のカードローン残高全額について支払期日が到来します。
そのため,同じ銀行の口座に預金があると,銀行はローン残高と相殺します。

口座にいくらか残高が残っていたらゼロになるかもしれないということですね。

それに,しばらくの間,その銀行の口座からは出金ができなくなります。

その口座が給与の振込み口座や公共料金の引落し口座になっていると,たいへんです。

あらかじめ対処しておいた方がいいですね。

破産手続の開始

受任通知発送後,弁護士は債務者とやり取りをしながら破産手続開始申立書を作成します。
この申立書で,収入,財産,生活状況,債務の内容,債務を負うに至ったいきさつなどを,資料を添付して裁判所に説明します(破産法第20条)。

申立書を受け取った裁判所はどうするんですか。

申立書を受け取った裁判所は,申立書の内容を見て,債務者がこの先継続して債務を返済していくことができない状態にあるかを判断します。
そして,そのような状態にあると判断されれば,裁判所が破産手続の開始を決定します(同法第30条第1項)。

そこから破産手続が始まるわけですね。
そして破産手続というのは,債務者の財産の清算手続きでした。

よく覚えていましたね。
そこで,その清算手続きを進める人として破産管財人が選任されます(同法第31条第1項)。

破産管財人は仕事をするわけですから,報酬が必要だと思うんですが。

破産管財人の報酬は破産者の財産から支出されることになります。
ですから,破産管財人が選任されると,破産者は最低でも20万円程度を準備することが必要です。

同時廃止

破産手続は債務者の経済生活の再生を目的としていますから,何もかも取り上げて金銭化するわけではありません。
一定の範囲の財産は,金銭化する財産に含めないことになっています(同法第34条第3項)。

そうすると,債権者に分けるほど金銭化できる財産がないという場合も少なくないように思います。

そのとおりです。
そんな場合,破産管財人は仕事がありませんし,財産を清算する手続は不要です。

破産管財人を選任する必要があるのですか。

そのような場合には基本的に破産管財人は選任されず,破産手続開始の決定と同時に破産手続を終える(廃止)ことになります(同法第216条第1項)。
これを「同時廃止」と呼んでいます。

「同時廃止」となる場合は,管財人の報酬を用意する必要がないのですね。

財産の清算手続き

債権者に分ける財産がある場合は,選任された破産管財人が財産の金銭化を行います。
そのため,債権者に分けることになる財産は,すべて破産管財人が管理します(同法第78条第1項)。

住宅ローン中の不動産はどうなるのですか。

住宅ローンの担保に入っている不動産は,破産手続にかかわらず,銀行などの債権者が担保権に基づいて競売することができます(同法第65条第1項)。

不動産業者を通じて売却した方が高く売れるんじゃないですか?

そうですね。破産管財人が債権者と協議して,競売ではなく業者を通じてより高値で売却をする場合も少なくありません。

財産をお金に換えた終わったら,今度は債権者に分配するんですね?

財産の金銭化が終わると,税金などの滞納がある場合,まずその弁済が行われます(同法第151条)。
それでも残った金銭がある場合,基本的に債権額の割合に応じて債権者に配当されることになります(同法第193条,第194条第2項)。

それで破産手続が終わるわけですね。

免責手続き

配当が終わった後に残った債務はどうなるんですか?

会社の場合は破産手続の開始によって解散しますので(会社法第471条第5号),債務を負う主体がなくなります。
でも,個人は破産手続にかかわらず存続しますから,配当が足りなかった部分の債務は残ります。

それだと,破産者にとって意味がないのではありませんか。

そのため,破産者の財産を清算しても残った債務について,免責許可の申立て(破産法第248条第1項)をします。

どういうことですか。

「免責」とは支払を強制されないという程度の意味で(同法第253条第1項),これを裁判所に認めてもらうための申立てということになります。

別の手続きが必要なのですね。でも個人の破産だとみんな申立てするんじゃないんですか?

そうですね。自己破産の場合,基本的に破産手続開始の申立てと同時に免責許可の申立てがされたとみなされることになっています(同法第248条第4項)。

免責に反対する債権者もいるでしょうね。

免責許可の申立てがあると,一定期間,債権者は意見を述べることができます(同法第251条1項)。
金融機関などはこのような事態はあらかじめ織り込み済みですので,厳しい意見を述べることは多くありません。
しかし取引先などが債権者にいる場合は,免責を認めるべきでないという厳しい意見を述べる場合もあります。

裁判所はどんな場合に免責を認めるのでしょうか。

ギャンブルで過大な債務を負った,財産を隠していた,知人だけにこっそり借金の返済を続けていた等,法律に定められた不許可事由がないと判断した場合,裁判所は免責を許可する決定をします(同法第252条第1項)。

ギャンブルで作った借金が原因で破産した場合,免責はされないということですか。

もし不許可事由があっても,経済生活の再生に向けたその後の生活態度が前向きであると判断したような場合,裁判所は免責を許可する決定をすることができます(同条第2項)。

同時廃止の場合,経済生活の再生に向けたその後の生活態度が前向きかどうかについて,誰が調べるのですか?

同時廃止の場合でも,ギャンブルやマルチなどで作った借金が大きく免責不許可事由がある場合は,それでも免責を許可するかどうかの判断のために,破産管財人が選任されることになります。
破産管財人から経済生活の再生に向けた生活態度を指導・調査され,その報告をもとに裁判所が免責許可をするかどうかの判断を行います。

なるほど。あきらめないで生活再建の意欲を持てば,免責許可も十分にあり得るということですね。

事務所へのアクセス

事務所の地図 ◆地下鉄「丸太町駅」から南へ徒歩約3分。
◆地下鉄「烏丸御池駅」から北へ徒歩約5分。
◆烏丸通の東側に面したビルの3階です。
◆駐車場はございませんので,お車の方は近くのコインパーキングなどをご利用ください。

営業時間:平日9時30分~17時30分,土日祝休

〒604-0857 京都市中京区烏丸通二条上る ヤサカ烏丸御所南ビル3階
京都北山特許法律事務所 TEL:075-241-2588