相続の法律

目次

1 相続は必ず始まります
2 相続で何が争われるか
 (1) 誰が相続人か
 (2) 何が遺産か
 (3) 遺産の価値
 (4) 遺産の分け方
 (5) 使途不明金など
 (6) 遺留分の侵害
 (7) 祭祀の承継
3 相続争いをどうやって解決するか
 (1) 協議・調停・審判
 (2) 遺留分が侵害されているとき
 (3) 終わりにひとこと
4 事務所へのアクセス

相続は必ず始まります

相続は、被相続人の死亡により例外なく開始します。
今生きている誰一人として例外はありません。

相続が開始したら、相続人は、まず相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません。

借金ばかり残されていて相続してもメリットがないような場合は、相続を放棄することになるでしょう。
これは、原則として、相続が開始してから3か月以内にしなけれななりません。
また、相続放棄する前に遺産を処分してしまうと相続を承認したことになってしまいますので、注意が必要です。

相続を承認する場合は、相続を承認した他の相続人との間で遺産を分けることになります。

遺言が残されている場合は、基本的にその遺言に従って遺産を分けることになります。
しかし、遺言の内容に不満を持つ相続人がいる場合、遺言書を作成した当時すでに意思能力がなかったとか、あるいは本人の字ではないとか、遺言の有効性をめぐる争いが起きる場合があります。
遺言からもれている遺産があったり、内容があいまいで解釈に関する争いが起きたりすることもあります。

遺言が残されていない場合は、どのように遺産を分けるかについて相続人全員で話し合いをしなければなりません。
基本的には法律で定められた相続分に従うことになりますが、誰がどの遺産をもらうかとか、兄は生前すでに家を買ってもらっているとか、争いの起きることがあります。

相続で何が争われるか

誰が相続人か

被相続人との関係で誰が相続人になるかは、民法で決められています。
しかし、思わぬ婚外子(いわゆる隠し子)が現れて、相続を主張することがあります。
被相続人が出生してから死亡するまでの全戸籍を取り寄せて、相続人に漏れがないよう調査しておく必要があります。

反対に、子どもとして長年生活して戸籍にも入っているのに、相続人ではないとして親子関係が争われることもあります。
親子関係に関する争いは、別途、親子関係不存在確認の調停や訴訟で解決する必要があります。

何が遺産か

何が遺産なのかについて争いになることもよくあります。
被相続人と疎遠になっていた相続人は、どのような遺産があるのかよく分かりません。
たとえば金庫の中の現金が被相続人の所有物なのか相続人の所有物なのかで争いになることがあります。

何が遺産なのかについて話合いによる合意ができなければ、別途、遺産の範囲を確認するための民事訴訟で解決することになります。

遺産の価値

現金や預貯金は、金額が明確です。
しかし遺産に不動産、有価証券、貴金属などがある場合は、それをいくらと評価するかで争いになることがあります。

有価証券や貴金属で相場があるものは、その相場にしたがって合意することができます。
不動産の価値で合意が難しい場合は、費用を出し合って鑑定を依頼することがあります。

遺産の分け方

相続人、遺産、遺産の評価が決まったら、どの遺産を誰がもらうのかを決めなければなりません。
これには現物を相続分で分ける、誰か一人が取得して他の相続人に代償金を支払う、相続人みんなで共有する、という方法が考えられます。

インゴットのように現物が分けられる物があれば、不動産のようにそれが難しい物もあります。
現物を分けるのが難しい遺産については、利用状況や代償金の支払い能力などを考慮しながら、誰が取得するのがよいかを考えましょう。

相続人で共有すると、共有物の分割請求の場へ争いが先送りされるだけということになりかねません。
できるだけ避けた方が無難です。

一部の相続人が生前に贈与を受けていて、法定相続分どおりに分けたのでは他の相続人とつり合いがとれないという形で争いが起きる場合があります。
被相続人の生活を助けていたからその分を見てほしいという主張がされる場合もあります。

生前に贈与を受けていたり生活の面倒を見ていたりしていても、そのすべてが考慮されるわけではありません。
話合いが進まなければ専門家への相談や裁判所の利用を考えた方がいいかもしれません。

使途不明金など

被相続人の入院後に銀行口座から多額の引出しがあるなどの場合、無断の出金ではないかとの争いが起きることがあります。
死亡後の出金の使途について争われることもあります。

遺産分割は、被相続人の遺産のうち、現在も存在している物を相続人で分ける手続きです。
預金の引き出しなどによって被相続人の死亡時に存在しなかった財産は、特別受益にあたらない限り、分割の対象になりません。
同様に、死亡時には存在したが現時点で存在しない財産も、分割の対象になりません。

相続人同士で話合いがつけばいいですが、あくまでも白黒をつけたいのであれば、別途、民事訴訟で争う必要があります。

遺留分の侵害

一人の相続人に全部を相続させるという遺言が残されていることがあります。
いかに遺言に書かれていても、法律で決められた遺留分(民法1042条)を侵害することはできません。

遺留分侵害額の請求には1年という消滅時効期間が定められていますので(民法1048条)、注意が必要です。

祭祀の承継

 お墓やお仏壇を誰が引き継ぐかについても争いになることがあります。
法律上、これらは相続とは別問題ということになっています。

原則として慣習によるとされていますが、被相続人の指定があれば指定された者が引き継ぎます。
慣習も指定もないような場合、話合いがつかなければ家庭裁判所が決定します。

相続争いをどうやって解決するか

協議・調停・審判

遺産をどのように分けるかについて争いがあるとき、まず相続人全員で話し合うことになるでしょう。
通常、遺産分割協議と呼んでいます。

話合いで解決できないときは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。
遺言が有効かどうか、特定の財産が遺産に含まれるかどうかなどについては、民事訴訟で確定させる必要があります。
また、無断で引き出された預金を取り戻したいという場合も、本来は民事訴訟で解決する問題です。

裁判所が探偵のように遺産を調査してくれることはありません。
一部の相続人が遺産を隠していると主張するのであれば、遺産を調査してそのことを自分で明らかにする必要があります。

不動産の価格について双方で言い分が食い違っている場合は、中間で折り合う、どちらも不動産を取得したいのであれば入札方式で決める、どうしても折り合いがつけられない場合は費用を支払って裁判所の鑑定に委ねる、などで決めることになります。

調停でどうしても話し合いがまとまらないときは調停不成立となり、審判手続きに移行します。
審判では裁判所が遺産の分け方を決めることになります。

調停でのような柔軟な解決が難しい場合もありますので、審判で裁判所がどのように判断するかという見通しなどを持ちつつ、なるべく調停の段階で解決を図った方がいいかもしれません。

遺留分が侵害されているとき

遺留分の請求については短期の消滅時効がありますので、通常は請求したことを証拠として残すため、内容証明郵便を送付します。

内容証明郵便を送付して話がつけばよいのですが、もらってしまったものを返却するということですので、一般的になかなか話がつきにくいものです。
当事者同士で話がつかない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。

調停で話し合いがつかなかった場合は訴訟を提起しますが、管轄は地方裁判所になります。

終わりにひとこと

他人間の争いであれば損得だけのドライな駆け引きで解決へ向かうこともできます。
しかし、親族間の争いは背景が濃密なだけに、当事者間でなかなか争点を絞るのが難しいという特徴があります。
そのため、相続争いは長期化してしまう傾向にあると言えます。

事務所へのアクセス

事務所の地図 ◆地下鉄「丸太町駅」から南へ徒歩約3分。
◆地下鉄「烏丸御池駅」から北へ徒歩約5分。
◆烏丸通の東側に面したビルの3階です。
◆駐車場はございませんので,お車の方は近くのコインパーキングなどをご利用ください。

営業時間:平日9時30分~17時30分,土日祝休

〒604-0857 京都市中京区烏丸通二条上る ヤサカ烏丸御所南ビル3階
京都北山特許法律事務所 TEL:075-241-2588